当記事では、日本語の文章で使われる「繰り返し記号(踊り字)」について解説します。
繰り返し記号の種類や用法、また入力方法までわかりやすくご紹介しますので、ぜひ文章執筆の参考にして下さい。
繰り返し記号(踊り字)とは
「繰り返し記号(踊り字)」とは、漢字や仮名をくりかえすときに、言葉を省略してあらわすための記号のこと。
「々」「ゞ」「〃」などの記号を指し、他にも「畳字、重文、送り字、重ね字、ゆすり字、ゆすりがな」など、さまざまな名称で呼ばれる場合があります。
なお文化庁が過去に発表した『くりかへし符号の使ひ方(をどり字法)』では「繰り返し符号」の名称で仮に統一するとされましたが、あまり定着しておらず、現代では主に「繰り返し記号」か「踊り字」と呼ばれています。
繰り返し記号(踊り字)一覧と入力方法
繰り返し記号の一覧と、その入力方法をご紹介します。
記号 | 名称 | unicode | 変換 |
---|---|---|---|
〃 | ノノ字点 | 3003 | 「おなじ」を変換 |
々 | 同ノ字点 | 3005 | 「おなじ」を変換 |
ヽ | 一ツ点 | 30FD | なし |
ヾ | 一ツ点 | 30FE | なし |
ゝ | 一ツ点 | 309D | なし |
ゞ | 一ツ点 | 309E | 「おなじ」を変換 |
〻 | 二ノ字点 | 303B | なし |
〳〵 | くの字点 | 上3033 下3035 | なし |
〴〵 | くの字点 | 上3034 下3035 | なし |
なお「くの字点」は基本的に縦書き表記でつかわれますが、横書きで「〳〵」「〴〵」と書くこともあります。
「おなじ」で変換できる代表的な記号以外はUnicodeから入力するか、コピペして単語登録しておくと良いでしょう。
繰り返し記号(踊り字)の種類と用法
それでは5種類の繰り返し記号の用法をご紹介していきます。
現代文で主に使われているのは「〃」と「々」くらいですが、この機会に一通りの意味や使い方をおさらいしておいて下さい。
ノノ字点「〃」
ノノ字点「〃」は、数字や語句を繰り返す際に使われる繰り返し記号。
よく管理表などで使われるほか、同じ語句が何度も続く文章で用いられます。
月 | 日 | 金額 | 使途 |
---|---|---|---|
1 | 14 | 1000円 | 食事代 |
〃 | 〃 | 1500円 | 備品代 |
2 | 3 | 2400円 | 〃 |
2 | 14 | 2000円 | 〃 |
- A案を可とするもの 100名
- B案 〃 54名
- C案 〃 46名
ノノ字点「〃」は上記例のように、一般的な文章というよりも、何かのデータを一覧でまとめる際に使われることが多い繰り返し記号です。
同ノ字点「々」
同ノ字点「々」は、同じ漢字を繰り返すときに使われる記号です。
- 益々
- 精々
- 早々
なお元々は漢字の「仝」が使われていて、のちに同ノ字点「々」に転化したと言われています。
二ノ字点「〻」
二ノ字点「〻」は、同ノ字点「々」とまったく同じ用法で使われる、漢字の繰り返しを意味する記号です。
- 只〻
- 各〻
- 諸〻
二ノ字点「〻」は主に手書きで使われる表記であり、印刷の際は同ノ字点「々」が使われることがほとんどです。
PCやスマホで使用する際は、基本的には同ノ字点「々」を使いましょう。
一ツ点「ヽ」「ヾ」「ゝ」「ゞ」
一ツ点は、ひらがなを繰り返す際に使われる記号。通常のかなには「ヽ」か「ゝ」を。濁点のついたかなには「ヾ」か「ゞ」が用いられます。
- こゝろ
- ほヾ
なお現代文ではほぼ使われませんので、一般的な文章を執筆する際に使うのはおすすめできません。あえて古風な表記をする機会があれば使って下さい。
くの字点「〳〵」「〴〵」
くの字点は、かなが含まれた2文字以上の言葉に用いられる繰り返し記号。「〳〵」は通常の言葉に。「〴〵」は1字目に濁点がつく言葉に使われます。
いよ〳〵
それ〴〵
思い〳〵
散り〴〵
- しば〳〵
- しみ〴〵
- 一つ〳〵
- 代わる〴〵
横書きで使われることはあまりなく、主に縦書きで用いられます。
繰り返し記号(踊り字)を使う際の注意点
繰り返し記号は、一部を除いて現代文ではあまり使われません。
例えば若者向けのメディアで「しば〳〵」などという表記を使っても、読者にとっては読みにくいだけですので、基本的には相手がスムーズに理解できるであろう記号だけを使いましょう。
(一般的なのは「〃」と「々」くらいです)
もちろん小説など自己表現の場ではその限りではありませんが、Webライティングやビジネスメールなど相手のいる文章では使用に注意して下さい。
まとめ
繰り返し記号は、適切に使えばとても便利な記号です。
ただ基本的には手書き表記の際に省略するために普及した記号ですので、PCであえて使う場合は一種の「修辞」的な意味合いが強くなります。
それを理解したうえで、適度に使用していきましょう。