この記事では「抑える」と「押さえる」の違いについて解説します。
簡単に言えば「量」に関することは「抑える」を。それ以外の場面は「押さえる」を検討すると良さそうです。記事やビジネスメール、マニュアル作成など様々な場面で使う言葉ですから、ぜひ適した用法を「押さえて」おきましょう。
なお、こういった言葉を「同音異義語」と言います。間違いやすい同音異義語は下記の記事にまとめてありますから、併せて参考にしてみて下さい。
「抑える」と「押さえる」の違いと使い分け方
「押さえる」と「抑える」には、下記のニュアンスの違いがあります。
- 押さえる:物理的に支える場面、理解を促す場面、支配下に置く場面などに使う
- 抑える:何かの量を一定よりも少なく保つようなニュアンスで使う
実際に「おさえる」を文章に使用する際、何かの量を少なく保っておきたい場合は「抑える」を。それ以外の場合は「押さえる」を使えば適した用法になることがほとんどです。
例えば「感情」は目に見えませんが「高まる(昂る) or 静まる」という概念のある言葉です。「感情をおさえる」場合は、量を低く保つという意味と捉えて「抑える」を使うと良いでしょう。
他の例で言えば「テキストに書いてある要点をおさえる」場合は「理解する」ニュアンスと考えて「押さえる」を使うのが適した用法になります。
しかし同じ「学習」のシーンでも「一度に学習を進めるのは10ページ程度におさえておきましょう」なら、量を低く保つというニュアンスですから「抑える」が適しています。
各言葉の持つ意味を理解した上で、適切に使い分けていきましょう。
「押さえる」の意味と用法
「押さえる」の意味は、辞書では下記の通り定義されています。
- ものが動かないように、押し付けて力を加える
- 対象の動きを封じる
- 自己に属するものとして確保する
- 大切なところをしっかり理解する
- 相手から盃を差されたとき、それを止めて相手に飲ませる
(出典:デジタル大辞泉)
上記の通り、かなり幅広い意味を持ちます。文章執筆や日常生活で使う用例をご紹介しておきます。
- 扉が閉まらないよう押さえておく
- 犯人を取り押さえる
- 飛行機の席を押さえる
- ポイントを押さえる
基本的に、モノゴトの量について言及する場面ではない「おさえる」は「押さえる」の表記を検討すると良いでしょう。
「抑える」の意味と用法
「抑える」の意味は、辞書では下記の通り定義されています。
- ある水準以上には高まらないようにする
- スポーツで、相手の勢いをとどめる
- 感情・欲望などが高ぶるのをとどめる
(出典:デジタル大辞泉)
上記の通り、基本的に量を低く保つような場面で使うのが「抑える」です。用例は以下の通り。
- 食事の量を抑える
- 強豪チームを相手に、0点に抑えた
- 感情を抑える
まとめ
「押さえる」と「抑える」は、コツを”押さえれば”使い分けのしやすい言葉です。
量を低く保つニュアンスは「抑える」を。それ以外で「おさえる」場面は基本的に「押さえる」を検討して下さい。そのシーンごとに、より適した表現を使っていきましょう。