みなさんから提出いただいた課題文を添削し、コメントをつけて公開いたします。
1時間目の課題は「迷子になった文のリライト」です。下記文のリライトにチャレンジしていただきました。
文章を仕事にすることは、決してハードルが高いわけではなくて、誰でもチャレンジすると良いが、とてもライバルが多く、誰にでもできるわけではないし、よく努力する必要がある。
焦点は「主語と述語のねじれ」「一文の長さ」「助詞や接続詞の用い方」「文脈(誰が、誰に伝える文脈なのか)」あたりです。細かく指定はしていませんから、皆さん思いおもいの編集を楽しんでいただきました。
いただいた提出文の中から目に留まったものをピックアップして、コメントをつけてお返ししていきます。
文亭の回答
まずは文亭の回答です。これが模範というわけではありませんが、メディアに掲載するならこうします。
文章を仕事にするハードルは、決して高くありません。誰にでもチャレンジの機会があります。しかしその分ライバルも多い業界ですから、長く生き残れるのは、人に負けないくらい努力できる人だけかもしれません。
好みで「です・ます調」に直し、文を細かく区切りました。さらに文脈を「これからライター業へチャレンジしたいひと」へ伝えるようなニュアンスにまとめています。
みんなの回答
ちゃたピンナンさんの提出文
書くことを仕事にすることは高いハードルではなく、誰でも挑戦できますが、競争相手が多すぎて誰もができるわけではないので、一生懸命働く必要があります。
たくろーからのコメント
- 主語と述語のねじれが修正されていませんから、そこから着手する必要があります
- 無理に繋げようとせず、文を区切ることを検討しましょう
かいとさんの提出文
文章を書く仕事は誰でもがチャレンジしやすい反面ライバルも多い。しかし、そのライバルも皆日々努力をしてきているし必ず自分の得意な分野がある。もちろん努力は必要だが、先ず自分が何を得意としているかを見極めてチャレンジするのも、ハードルを下げる意味でも有効と言えるだろう。
たくろーからのコメント
- 出だしの一文の主張は良い雰囲気に感じましたが、てにをはをよく検討するとよさそうです
- 2文目冒頭の「しかし」が、この文脈では誤用です。「さらに」などが適していました
- 3文目は「努力」について原文より深掘りされていて良いのですが、立場「するのも」「意味でも」など接続に関する言葉選びに一工夫あると嬉しいですね
オキノトワコさんの提出文
文章を書く仕事は誰でも気軽にチャレンジができますが、それゆえライバルが多く、長く続けていこうと思うのならかなりの努力が必要です。
たくろーからのコメント
- 読み味はとてもスッキリしています
- 「努力が(主語)」「必要です(述語)」が主旨の文構成になっており、前段階の修飾語たちが渋滞している印象でした。文を区切るか、構成を工夫したいところです
- 「長く続けていこうと思うのならかなりの努力が必要です」は、音読すると少々早口言葉のようになりそうです。読点「、」で区切ることを検討してください
キジャクリビさんの提出文
様々ある仕事の中でも文章作成は意義深いものである。なぜなら特別な資格がなくともやる気さえあれば誰でも取り組むことができる一方で、そのきっかけの簡易さゆえの競争率の高さが、「一花咲かせ」られずにとどまらざるを得ない現象を少なからず造りだしているからである。
たくろーからのコメント
- 伝え方や言葉選びが素敵だと思いました。重厚なニュースメディアのようです
- 文法に明確な誤りはありませんが、読みやすくするためには、一文を短く区切りたいところです
- 「一花咲かせ」のカッコによる区切り方も、もう少し工夫できるかもしれません
森園タカハルさんの提出文
文章を書く仕事は、ハードルも低く誰にでもできる。
だが、ライバルも多く努力が必要。
たくろーからのコメント
- 端的に区切られていて、読みやすい文章です
- やや機械的な印象を受けましたので、もう少し味付けしたいようにも思います
- 誰が誰に送る文章なのか、明確な意志を含ませられると、もっと魅力ある文章になりそうです
ごしゃがれさん太郎さんの提出文
文章の仕事は、始めるハードルが高いわけではありません。誰でもチャレンジできる機会があるからこそ、とてもライバルが多い業種です。「文章で食べていく」ことを目指すなら、「大勢の中から選んでもらえる」人材を目指す必要があります。学び続ける姿勢が必要不可欠な仕事だといえるでしょう。
たくろーからのコメント
- 読みやすくまとまっていて、とくに何をどう修正するというところはありません!
- 好みによりますが、場合により「」前後の読点「、」はトルツメして良いかもしれません。
- 「」であえて伝えたいことを強調しているのも、メッセージ性があって良いですね。
授業の総評
どこで区切るか、主張をどこに持ってくるか、どう表現するか。同じ原文でも、人によってリライトの方法はさまざまです。
しかし正しく「てにをは」を使い、主語と述語を対応させるのは、意外と難しいことだと実感いただけたかと思います。
まだまだ回答お待ちしておりますので、ぜひご参加ください。