この記事では「異常」と「異状」の違いについて解説します。
簡単にまとめると、正常ではないモノゴトには「異常」を。そして「異常である状態」を指すときには「異状」を使う、と覚えておくと、違いを理解しやすくなります。
少々使い分け方が難しい言葉たちですから、記事中では論理立てて詳しく解説していきます。
なお、こういった言葉を「同音異義語」と言います。間違いやすい同音異義語は下記の記事にまとめてありますから、併せて参考にしてみて下さい。
「異常」と「異状」の違いと使い分け方
「異常」と「異状」には、下記の違いがあります。
- 異常:正常ではないこと。形容動詞か名詞として使う。
- 異状:「異常である状態」の略称。名詞としてのみ使う。
まず「異常」という言葉が存在して、「異常である状態」を指す言葉として「異状」がある、と考えると整理しやすくなります。
なお「異常」は、名詞と形容動詞の2パターンで使えるのがポイントです。名詞として「異常をきたす」「異常がある」などと使うほか、形容動詞として「異常な執着を見せる」などの文脈でも使います。
一方で「異状」は、名詞としてのみ使う言葉です。状態や様子などのざっくりとした概念にのみ使う言葉であり、日常生活で耳にするのは「異状なし」の報告くらいではないでしょうか。
使い分け方がわからなくなった場合、それが「異常な状態」をさす場合のみ「異状」を。それ以外の場面では基本的に「異常」を使うと良いでしょう。
「異常」の意味と用法
「異常」の意味は、下記の通りです。
- 普通と違っていること。正常でないこと。また、そのさま。
- 度を超えているさま
(出典・参考:デジタル大辞泉)
具体的な用法は下記の通り。
- 彼はこのプロジェクトの成功に、異常なまでのこだわりを見せた
- 地球温暖化による異常気象だ
- 動作に異常をきたしている
正常ではない。といった意味のほかに「度を超えている」といった意味合いで使われる事もあります。
「異状」の意味と用法
「異状」の意味は、下記の通りです。
- 普通とは違う状態
- 異常な状態
(出典・参考:デジタル大辞泉)
具体的な用法は下記の通り。
- 見回りの結果、本日も異状なし
- エレベーターで異状を発見した
「状態」「様子」などのざっくりとした概念に対して使う言葉です。
まとめ
「異常」と「異状」は、意識しなければ使い分け方が難しい言葉です。
- 異常:正常ではないこと。形容動詞か名詞として使う。
- 異状:「異常である状態」の略称。名詞としてのみ使う。
まずは「異常」という言葉があり、「異常な状態」を指す言葉として「異状」があると覚えておけば、その場で考えて適した用法で使えるはずです。
この使い分け方を押さえて、適したシーンで使えるようにしておきましょう。