今回は「文末表現」をテーマに解説していきます。
流れるように読める、ちょっと大人な文章を書きたいと思ったときには「文末表現」に工夫が必要。とくにWebライターやシナリオライターなど文章を扱う職業の方は、その種類や選び方を知っておく必要があります。
良い文章を書くには、まず「です・ます調」と「だ・である調」のどちらかを選択した上で、同じ文末が続きすぎないよう意識するのがセオリー。例えば文末表現を意識せず「〜です。〜です。〜ます。〜です」と同じ言葉ばかり続けてしまうと、どうしても単調な文章表現になってしまいます。
豊かな文末表現を使いこなせるよう練習して、クライアントからも読者からも「読みやすい」と思われる文章表現を目指していきましょう。
文末表現とは
文末表現とは、文章の末尾の表現のこと。「〜です」「〜でしょう」などの表現を指します。
ずっと同じ文末表現が続くと、単調かつ稚拙な印象の文章になってしまうため、大人っぽい文章を目指すなら「適度に文末表現を散らす」というテクニックを身につけるのが大切。
例えば下記の文章は、かなり単調な印象を受けるはずです。
いかがでしょうか。
下記の文章では、同じ意味で大人っぽい印象になるよう書き直してみました。
真ん中の文章が「〜です」で終わらないよう、文末表現を入れ替えるついでに表現を変えています。(ニュアンスを合わせるために、後ろの文章も少し調整しました)
たったこれだけの話ですが、随分と「読める文章」になったのではないでしょうか。
このように「文末表現」は、文章の印象を左右する大切な要素なのです。
ただし種類は統一するよう注意
文末表現を続けないとはいっても、それは「同じ種類の中」の話です。
「です・ます調」と「だ・である調」の文末表現が混在してしまうと、途端に乱雑な文章になってしまいますので、重々注意して下さい。
まずはNG例をご用意しました。
上記文章のように別の種類の文末が混在すると、チグハグな文章になってしまいます。
下記の文章では、これを「です・ます調」に統一したうえで、同じ文末が続かないようアレンジしてみました。
たったのこれだけで、流れるように読める文章になったはずです。
同じ文末表現は続けない方が良いのですが、あくまで「同じ種類」の文末の中だけで表現を変えるよう注意しましょう。
文末表現の種類
まずは文末表現の種類を「です・ます」調と「だ・である」調に分けて、一覧でお伝えします。
「文末表現を変えるといっても、どんな言葉を使えば良いかわからない」という方は、一通り眺めて語彙を増やしてみて下さい。
「です・ます」調の文末表現一覧
文末表現 | 意味 | 使用例 |
---|---|---|
〜です | 断定 | 私は文章が好きです |
〜ですね | 断定 | 文章が綺麗ですね |
〜ですよね | 確認 | 文章を書くのは得意ですよね? |
〜ますよね | 確認 | よく文章を書きますよね? |
〜します | 断定 | 文章を書きます |
〜でしょう | 提案 | 文章を書くと良いでしょう |
〜ましょう | 勧誘 | 文章を書きましょう |
〜ません | 否定 | 文章を書きません |
〜かもしれません | 推測・提案 | 文章を書くと良いかもしれません |
〜下さい | 指示・提案 | 文章を書いて下さい |
〜でした | 過去・完了 | 以前は文章が嫌いでした |
〜ました | 過去・完了 | 文章を書きました |
「です・ます調」の文章を書く場合、上記の文末に加えて「体言止め」を組み合わせながら、豊かな表現の文章を書いていきましょう。
「だ・である」調の文末表現一覧
文末表現 | 意味 | 使用例 |
---|---|---|
〜だ | 断定 | 私は文章が好きだ |
〜である | 断定 | これは良い文章である |
〜ない | 否定 | これは良い文章ではない |
〜か | 確認 | この文章は綺麗か? |
〜ろう | 提案 | 文章を書くと良いだろう |
〜け | 指示 | 文章を書け |
〜ろ | 指示 | 文章を修正しろ |
〜う | 勧誘 | 文章を書こう |
〜た | 過去・完了 | 文章を書いた |
「だ・である調」の文章を書く場合は、上記の文末と体言止めで表現しましょう。ただし少々きつい文章になりますので、評論や論文など適したシーンのみで使うよう気をつけて下さい。
文末表現の選び方
次に「です・ます調」と「だ・である調」のどちらの種類を選べば良いのか、シーンごとに解説していきます。
記事・原稿
記事や原稿を書く場合は「です・ます調」と「だ・である調」のどちらも使われる場合がありますが、一般的になレギュレーションが決まっています。その掲載メディアのルールに従いましょう。
感想文やレビュー
感想文やレビューは、一般的に「です・ます調」と「だ・である調」のどちらでも問題ありません。書く場所のルールに従うと良いでしょう。
心配であれば「です・ます調」にしておけば、基本的には間違いありません。
仕事の報告書・レポート
仕事の報告書やレポートでは、基本的に「です・ます調」を選びましょう。ビジネスの現場では、基本的に「だ・である調」は避けるのがベターです。
論文
卒論などの論文では、「です・ます調」と「だ・である調」のどちらでも問題ありません。しかしその界隈の文化もありますので、基本的には先人の論文を見習って文末表現を選ぶと良いでしょう。
ビジネスメール
ビジネスメールでも、基本的に「です・ます調」を選びましょう。さらにいえば、ビジネス関係者に伝えるうえで適した敬語や丁寧語の表現を使えるよう、不慣れな方は学んでおいて下さい。
文末表現が単調な文章の具体例と改善案
最後に「文末表現」が続いてしまっている文章の具体例と、その改善案をお伝えします。
改善案はあくまで一例ですので、よろしければぜひ自分なりに修正してみて下さい。
「です・ます調」で文末表現が単調な文例
上記の文章は「です。ます。です。ます」と文末が続いており、やはり単調な印象になっています。
下記の改善例をご覧ください。
意味は変えず、表現を豊かにしました。文末だけをいじるのではなく、ガラッと変えてしまうのがおすすめです。
「だ・である調」で文末表現が単調な文例
上記の文章は「だ。だ。だ」と文末が続いており、単調な印象になっています。
下記の改善例をご覧ください。
文末が続かないよう、色々と工夫を凝らして表現を変えていくテクニックが必要です。ぜひ練習して、身につけていって下さい。
まとめ
文末表現は、文章の印象を決める大切な要素の一つです。
まずは「です・ます調」と「だ・である調」のどちらかで統一した上で、同じ文末ばかりが続かないよう、文章の書き方を工夫していきましょう。
特に商業で文章を書くようなWebライターやシナリオライターには必須のテクニックですので、ぜひ日々意識して訓練していって下さい。
下記の記事では「良い文章を書くコツ」を他にも色々とご紹介していますので、あわせて参考にしてみて下さい。