今回は日本語の文章表現における「係り受け」について解説します。
係り受けは複雑なモノだと思われがちな概念ですが、ルールさえ理解すれば意外とシンプルです。
「係り受け」の意味や重要性、使い方などについてご紹介していきますので、ぜひこの機会におさらいしていって下さい。
係り受けとは
係り受けとは、文中の言葉同士の関係性のこと。
まず「文中の述語と独立語以外の言葉は、すべて述語に係る」というルールが大前提として存在しており、それら言葉同士の関係性が「係り受け」と呼ばれています。
例文をご覧ください。
- 僕は→買った
- 昨日→買った
- スーパーで→買った
- すごく安売りされていたカップ麺を→買った
- 食べきれないほど→買った
すべての言葉が、述語である「買った」に「係って」います。そして「買った」は、ほかの全ての言葉を「受けて」いますよね。
こういった言葉同士の関係性が「係り受け」と呼ばれるものになります。
さらに「すごく安売りされていたカップ麺を」を分解して考えてみます。
- すごく→安売りされていた
- すごく安売りされていた→カップ麺
- すごく安売りされていたカップ麺を→買った
上記の通り、順番に係ったり受けたりしながら文を構成しており、これも「係り受け」の関係になります。
基本的に、文章の係り受けを考える上では「述語」が主役になります。「述語」を大切にしていきましょう。
係り受けを間違えると、文章として成り立たない
文章の話になると、かならずと言って良いほど「係り受け」の話題が出るのは、係り受けを間違えると文章として成り立たないからです。
例文をもとに、係り受けを間違えることで文章として成り立たないケースを見ていきましょう。
係り受けを間違えるケースは、下記の2種類のみです。
- 主語と述語が対応していない
- 文中の修飾語が述語に対応していない
主語と述語が対応していない例
主語と述語が対応していないと、上記のように摩訶不思議な文章になります。
- 私のパソコンは→使っています(誤った係り受け)
- 最新のMacBook Airを→使っています(正しい係り受け)
正しく整理すると、以下のような文章になります。
主語と述語の係り受け関係が誤っていると、意味の通らない文章になると覚えておきましょう。
文中の修飾語が述語に対応していない例
上記文は文法的に誤りなのですが、このように長く複雑な構成になると、係り受けを間違ってしまいやすくなります。
少しでも違和感を感じたときは、文を分解してチェックしましょう。
- 良い文章の条件は→適切な順番で書かれていることだ(正しい係り受け)
- 読み手が理解できるよう→適切な順番で書かれていることだ(正しい係り受け)
- 端的にわかりやすいため→適切な順番で書かれていることだ(誤った係り受け)
- 馴染みのある言葉が使われたことから→適切な順番で書かれていることだ(誤った係り受け)
正しく整理すると、以下のような文章になります。
しかし元々の文章が長すぎるため、基本的には「一文に読点(、)は2つまで」を基準としておくことをおすすめします。
例えば下記文のように、2つの文に分けることも検討しましょう。
わかりやすい文章を書きたい場合は修飾語の使い方も大切ですので、ぜひ下記の記事も参考にしてみて下さい。
係り受けを間違えないコツ
それでは、係り受けを間違えずに良い文章を書くコツをご紹介していきます。
文章を書くときは以下4つのポイントを抑えておきましょう。
「述語」を起点に文章を考える
文章を書くときは、書き慣れていない方ほど「主語」に主眼を置いてしまいます。
主語から書き始めたは良いものの、途中で何を伝えたいのかわからなくなり、結果的に主語と述語の係り受け関係がおかしくなる……ということがよくあるのです。
文章において伝えたいことは「述語」に詰まっていますので、基本的には述語を起点に考える癖をつけておくと良いでしょう。
例えば文章で伝えたいことが「Webライターのメリット」だとします。その場合、
まずはこれだけ書いて下さい。そのうえで、わかりやすくするために必要な要素をつけ足していくのです。
まずは主語を足します。
主題が必要であれば付け足しましょう。例えば下記の通り。
もっと感情を込めたい場合は、
このようにしても良いかもしれません。
なかなかうまく文章を書けない場合は、まず「述語」から書き始めることをおすすめします。
伝えることを絞り、一文をシンプルにする
文章が複雑になるほど、係り受け関係を間違いやすくなってしまいます。
一文で伝えることは一つのメッセージに絞り、文章をシンプルにすることを考えましょう。
この考え方は「一文一義」と呼ぶのですが、文章を書くうえで守っておきたいセオリーのようなものです。
とにかく読者の視点に立って「伝えることはシンプルに」をモットーに文章を書いていきましょう。
適切な「てにをは(助詞)」を意識する
係り受け関係を正しくするには「てにをは(助詞)」の使い方も大切です。
「私は」「私が」「私を」「私なら」「私には」
どれも後に続く文章が変わり、もちろん述語も変わってきます。ここを疎かにすることで、やはり文の係り受け関係を間違える原因になりかねません。
正しく「てにをは」を使えるように、不安な方は一度おさらいしておいて下さい。下記の記事で詳しく解説しています。
主語と述語だけを抜き出して意味が通るか見直す
文を書いたあと、基本的には「主語と述語だけで意味が通るか」という視点でチェックしてみましょう。
それだけで、ほとんどの「係り受け関係のミス」を防げます。
結局のところ主語と述語が対応していれば最低限の意味は通りますので、書いたあと「主語と述語の係り受け」だけは確認しておくようにしましょう。
まとめ
「係り受け」は、文章を書くうえでとても大切な考え方です。
どれだけ書き慣れていても間違えることはありますが、しかし「間違えるポイント」さえ抑えておけば、書いた後にミスを発見することは難しくありません。
ぜひ「係り受け」を理解して、良い文章を書いていって下さい。
下記の記事では「良い文章を書くコツ」を他にも色々とご紹介していますので、あわせて参考にしてみて下さい。