GTMの変数とは?組み込み変数とユーザー定義変数の違いと使い方

当記事では、GTMの変数について解説します。

あまりプログラミングの知識がない方からすれば、聞きなれない言葉だと思います。なんとなく難しそうな響きですから、自然と忌避感を持ってしまうかもしれません。

今回は非エンジニアでも変数の概要が理解できるよう、わかりやすく情報をまとめましたので、ぜひGTMの「変数」について知っておいてください。

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\ この記事を書いた人 /

たくろー
Webディレクター
ライティングから編集、校正、ディレクション、SEO対策、アクセス解析、撮影、画像編集、Web制作と、なんでもやってるwebディレクターです。
現在はIT企業でインハウスSEO担当兼、メディア運営責任者・編集者として働きながら、札幌でWebライティングの講師として活動。「良いWebライターが増えれば仕事が楽になるなぁ」と思いながら、一人でひっそりと文亭を運営中。著書『Webライターが書いてはいけない文章28選』

GTMの変数とは

GTMの変数とは、タグを配信する(発火させる)対象を設定する機能です。

GTMで何かを計測するにあたり、「何を」計測するのか決めるのが変数だと捉えておくと、わかりやすいかと思います。

例えば特定のリンククリックを計測したい場合、URLが一つだけでよければ、組み込み変数の「Click URL」を使ってURLを指定します。

あるいは複数のURLを同じような条件で計測したい場合は、ユーザー定義変数を使って複数のURLを正規表現で指定することもできます。

「タグ」や「トリガー」との違い

GTMの計測設定では「トリガー・タグ・変数」の3つがセットになります。

「いつ、どこで、何を、どのように」計測するのか決める必要があるのですが、それぞれ下記の役割を担います。

  • トリガー = 「いつ、どこで」
  • 変数 = 「何を」
  • タグ = 「どのように」

例えばアフィリエイトリンクのクリック数を計測したい場合、下記のような役割分担になります。

  • トリガー = 「クリックされたとき、全ページで」
  • 変数 = 「この条件のリンクだけ」
  • タグ = 「GA4イベントとして」

トリガーだけあっても意味はありませんので、変数やタグとうまく組み合わせることが大切です。

GTMの変数の種類

GTMで取り扱う変数には、「組み込み変数」「ユーザー定義変数」の2種類があります。

どう違うのか知っておくと話が理解しやすくなりますので、概要を抑えておいてください。

組み込み変数

クリックに関する組み込み変数を有効にする画面例

組み込み変数は、GTM側が事前に用意してくれている変数です。

GTMをインストールした初期設定段階では、ページ関係の組み込み変数しか有効になっていませんから、必要な組み込み変数にご自身でチェックをつけて有効にする必要があります。

Webサイトの計測でよく使われる変数として「ページ・クリック・フォーム・動画・スクロール」などのジャンルでさまざまな変数が用意されています。

ユーザー定義変数

Amazonリンクをユーザー定義変数で指定する例

ユーザー定義変数は、その名の通り利用者側が自由に作れる変数です。

条件が一つだけ、あるいは「and条件(条件をすべて満たす)」のトリガーなら「組み込み変数」で事足ります。
しかし「or条件(いずれかを満たす)」で複数の条件を指定したい場合には「ユーザー定義変数」を使う必要があります。

(条件ごとにトリガーを一つひとつ用意しても対応できなくはありませんが、管理画面が煩雑になってしまいます。)

複数のURLを対象にして同じタイミングでタグを発火させたい場合、複数のスクロール深度に関するイベントを一括で管理しておきたい場合などに、ユーザー定義変数を活用していきましょう。

GTMの組み込み変数の使い方

それでは、GTMの組み込み変数の使い方について解説します。

1. 必要な組み込み変数を有効化する

GTMをインストールしてすぐの状態だと「ページ」と「ユーティリティ」の一部の組み込み変数だけが有効になっています。これから計測したい内容に必要な組み込み変数を有効化するところから始めましょう。

下記画面の通り「変数→設定」と進みます。

すると下記の通り組み込み変数が一覧で出てきますから、有効化したいものにチェックをつけます。

例えば「クリック」に関する組み込み変数をすべて有効にすると、上記のような状態になります。

なお、すべての組み込み変数を有効化してもとくにデメリットはありませんが、変数を選択するときに候補が多すぎて邪魔になるかもしれません。

2. トリガーの設定で組み込み変数を使う

組み込み変数は、主にトリガーの条件を設定するときに使います。

例えば「https://kukunochi.jp/」のページが開かれたときを条件にしたトリガーを作りたい場合は、トリガーのタイプを「ページビュー」にして、トリガーの発生場所を「一部のページビュー」に。そこで「Page URL」という組み込み変数を使ってURLを指定します。

もうひとつ、せっかくですから先ほど有効にした「クリック」の組み込み変数を条件につかったトリガーを作ってみます。

Amazonのアフィリエイトリンクに使われるドメイン「amzn.to」を含むURLがクリックされたタイミングをトリガーにするには、下記のような設定にします。

  • トリガーのタイプ = クリック – リンクのみ
  • タグの配信を待つ = 2000ミリ秒
  • 有効化条件 = [Page URL] [正規表現に一致] [.*]
  • 発生場所 = 一部のクリック
  • 発生条件 = [Click URL] [含む] [amzn.to]

この設定にすることで、どのページから何回Amazonリンクがクリックされたか計測できるようになります。

3. GA4イベントタグの「イベント名」に組み込み変数を使う

GA4イベントのタグを配信するときは、表示する「イベント名」を任意に決められます。

何か特定のものを決めても良いのですが、ここに組み込み変数を指定することで、その変数に該当する名称でイベントが上がってきます。

例えば先ほどの「Amazonクリック」のタグを配信するときに、下記のような設定にできます。

イベント名に組み込み変数である{{Click URL}}を指定することで、クリックされたURLがイベント名としてGA4に上がってきます。

僕の著書のAmazonページのURL「https://amzn.to/3y9SXMB」をクリックしたところをデバッグビューで確認してみると、きちんとURLがイベント名として上がってきていました。

もちろんイベント名に組み込み変数ではなく「Amazonクリック」など固定の名称をつけることもできます。

クリックされたURLをすべて取得しておきたいなどの目的がある場合、このように組み込み変数をイベント名に設定するアイデアも検討してみてください。(計測する対象のURLが多すぎると、イベントの種類が膨大になりますが……)

GTMのユーザー定義変数の使い方

次に、ユーザー定義変数の使い方を解説します。

1. ユーザー定義変数を作成する

まずはユーザー定義変数を作成します。

「ユーザー定義変数→新規」と進み、変数の設定をすると、変数タイプを選ぶ画面になります。

かなり専門的なものが多くなっているのですが、一般的な計測で使うことが多いのが「ルックアップテーブル」と「正規表現の表」です。

これらの表を使うことで、組み込み変数が苦手とする「or条件(いずれかに当てはまればOKな条件)」を実現することができます。

正規表現の表をつかって、3つのAmazonリンクを設定した例が下記の画面です。

それをどんな変数として扱うのか指定する「入力変数」には {{Click URL}} を選びます。

そして「パターン」欄に正規表現でURLを入力し、「出力」欄にはそのURLに対応する名称(GA4にイベント名として表示させたい名称)を入力していきます。

トリガー設定をするときの配信タイミングを効率よく設定するために、任意のデフォルト値も設定しておきます。

2. トリガーの設定でユーザー定義変数を使う

作ったユーザー定義変数を、トリガーに設定していきます。

タグの配信を待つ設定やトリガーの有効化条件は、組み込み変数のときとまったく同じで問題ありません。トリガーの発生場所だけ、ユーザー定義変数にあわせて設定する必要があります。

  • トリガーのタイプ = クリック – リンクのみ
  • タグの配信を待つ = 2000ミリ秒
  • 有効化条件 = [Page URL] [正規表現に一致] [.*]
  • 発生場所 = 一部のクリック
  • 発生条件 = [ユーザー定義変数名] [等しくない] [設定したデフォルト値]

クリックされたURLがデフォルト値ではなく、定義したURLだった場合に配信する、という条件になります。

こうやって設定することで、ユーザー定義変数に設定した複数の条件を一気にトリガーとして指定できます。

3. GA4イベントタグの「イベント名」にユーザー定義変数を使う

最後にタグの設定をします。

先ほど作成したトリガーを設定し、イベント名には「ユーザー定義変数」を指定します。

先ほど「組み込み変数」をイベント名に指定したときは、クリックされたURLがそのままイベント名に表示されるような設定でした。

今回はユーザー定義変数を作成する過程で、各URLに対して出力名を設定していました。その出力名が、イベント名として上がってくることになります。

複数の条件を一気に扱うときは、このようにユーザー定義変数を使うことで、管理がスマートになります。

GTMの変数を上手く活用しよう

GTMで計測設定をする際、変数を上手く使えるか否かで、管理のしやすさが大きく変わってきます。

条件が簡単なものでしたら組み込み変数で十分ですが、複数の条件がある場合などは、ぜひユーザー定義変数の作成にチャレンジしてみてください。

GTMを上手く活用して、スマートにデータ分析していきましょう。

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この記事を書いた人

ライティングから編集、校正、ディレクション、SEO対策、アクセス解析、撮影、画像編集、Web制作と、なんでもやってるwebディレクターです。
現在はIT企業でインハウスSEO担当兼、メディア運営責任者・編集者として働きながら、札幌でWebライティングの講師として活動。「良いWebライターが増えれば仕事が楽になるなぁ」と思いながら、一人でひっそりと文亭を運営中。著書『Webライターが書いてはいけない文章28選』

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