日本語の助動詞とは?13種類の用法と活用を解説【一覧表あり】

当記事では日本語文法における「助動詞」について解説します。

助動詞には13種類の言葉がありますから、それぞれの用法と活用がわかるよう、一覧にしてまとめました。ぜひこの機会に、おさらいしていって下さい。

また日本語文法の全体像は下記の記事で解説していますから、助動詞だけでなく全体的におさらいしたい方は、併せて参考にしてください。

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\ この記事を書いた人 /

たくろー
Webディレクター
ライティングから編集、校正、ディレクション、SEO対策、アクセス解析、撮影、画像編集、Web制作と、なんでもやってるwebディレクターです。
現在はIT企業でインハウスSEO担当兼、メディア運営責任者・編集者として働きながら、札幌でWebライティングの講師として活動。「良いWebライターが増えれば仕事が楽になるなぁ」と思いながら、一人でひっそりと文亭を運営中。著書『Webライターが書いてはいけない文章28選』

助動詞とは

助動詞とは、言葉の後ろにつけることで意味を付け加える役割を持つ言葉のこと。単体では成立しない「付属語」で、活用があることが特徴の品詞です。

例えば「書く」という動詞は、「書かれる」「書かせる」「書かない」など、色々と語尾が変わって(活用して)様々な意味で使える言葉ですね。

上記例で「書く」の語尾についた「れる」「せる」「ない」といった言葉が、助動詞です。

単体では意味が通じず、このように他の言葉の語尾につくことで言葉を成り立たせる品詞だと覚えておきましょう。

助動詞の活用の種類

多くの助動詞は6段階で活用されます。

例として「せる」という助動詞を、「書く」という動詞につけて活用した表をご用意しました。

活用形活用
未然形書か「せ」ない。
連用形書か「せ」ます。
終止形書か「せ」る。
連体形書か「せる」とき
仮定形書か「せれ」ば
命令形書か「せろ」。

ただ全ての助動詞が上記6種類の活用をするわけではなく、一部ほぼ活用しない語もあります。

例えば「推量・意思」を示す「う」には、終止形と連体形しかなく、しかも言葉自体には変化がありません。

活用形活用
未然形無し
連用形無し
終止形
連体形(う)
仮定形無し
命令形無し

単語例としては「行こう」「綺麗だろう」などに使われる「う」ですね。

このように助動詞はかなり不規則な活用や働きをする言葉ですので、丸暗記するというよりも、その言葉や役割ごとに細かく理解しておくと良いでしょう。

助動詞13種類の用法と活用

ここからは助動詞を大まかに分類しながら、用法や活用について解説していきます。

1. 「れる」「られる」の用法と活用

助動詞「れる」「られる」「受け身・可能・自発・尊敬」の意味を与える言葉です。

  • 受け身:「過ちを咎められる」など。誰かに何かをされる行為を示す。
  • 可能:「トマトを食べられる」など。できることを示す。
  • 自発:「思い出される」など。自然とその行為が行われる状況を示す。
  • 尊敬:「来られる」など。尊敬語として使う。

活用は以下表の通りです。

活用形「れる」「られる」
未然形られ
連用形られ
終止形れるられる
連体形れるられる
仮定形れれられれ
命令形れろられろ

2. 「せる」「させる」の用法と活用

助動詞「せる」「させる」「使役」の意味を与える言葉です。

使役とは「書かせる」「見させる」など、誰かに何かをさせる行為を指します。

活用は以下表の通りです。

活用形「せる」「させる」
未然形させ
連用形させ
終止形せるさせる
連体形せるさせる
仮定形せれさせれ
命令形せろ(せよ)させろ(させよ)

3. 「たい」「たがる」の用法と活用

助動詞「たい」「たがる」「希望」の意味を与える言葉です。

「本を読みたい」「いつも肉を食べたがる」など、何かを行いたいという意思を示す言葉ですね。

活用は以下表の通り。

活用形「たい」「たがる」
未然形たかろたがら
連用形たかっ、たくたがり、たがっ
終止形たいたがる
連体形たいたがる
仮定形たけれたがれ
命令形××

4. 「た(だ)」の用法と活用

助動詞「た(だ)」「過去・完了」「存続」の意味を与える言葉です。

  • 過去完了:「たくさん食べ」「本を読ん」など。過去に起こったことを示す。
  • 存続:「少なくなっ調味料を補充する」など。過去に起こって現在も存続している事柄を示す。

活用は以下表の通りです。

活用形「た」
未然形たろ(だろ)
連用形×
終止形た(だ)
連体形た(だ)
仮定形たら(だら)
命令形×

5. 「そうだ」の用法と活用

助動詞「そうだ」「様態」「伝聞」の意味を与える言葉です。

  • 様態:「今日は調子が良さそうだ」など。様子を示す。
  • 伝聞:「彼は就職が決まったそうだ」など。人づてで聞いた情報を示す。

同じ「そうだ」でも意味がまったく変わりますので、様態と伝聞で活用が変わってきます。

活用形様態の「そうだ」伝聞の「そうだ」
未然形そうだろ×
連用形そうだっ、そうで、そうにそうで
終止形そうだそうだ
連体形そうな×
仮定形そうなら×
命令形××

6. 「ようだ」の用法と活用

助動詞「ようだ」「たとえ」「推定」「例示」の意味を与える言葉です。

  • たとえ:「まるでプロのようだ」など。わかりやすいよう例を示す。
  • 推定:「話はまだ続くようだ」など。おそらくこうだろうと推測した結果を示す。
  • 例示:「彼のように上手くなりたい」など。例を示す。

活用は以下表の通りです。

活用形「ようだ」
未然形ようだろ
連用形ようだっ、ようで、ように
終止形ようだ
連体形ような
仮定形ようなら
命令形×

7. 「らしい」の用法と活用

助動詞「らしい」「推定」の意味を与える言葉です。

「どうやら彼は試験に受かったらしい」など、推測して結論づけた事柄を示します。

活用は以下表の通り。

活用形「らしい」
未然形×
連用形らしかっ、らしく
終止形らしい
連体形らしい
仮定形らしけれ
命令形×

8. 「ます」の用法と活用

助動詞「ます」「丁寧」なニュアンスを与える言葉です。

「本を読みます」など、いわゆる「です・ます調」の文章で一般的に使われる表現ですね。ただ仮定形を使った「本を読みますれば」といった言葉は現代では使いませんので、それだけは注意しましょう。

活用表は以下の通りです。

活用形「ます」
未然形ませ、ましょ
連用形まし
終止形ます
連体形ます
仮定形ますれ
命令形ませ、まし

9. 「だ」の用法と活用

助動詞「だ」「断定」の意味を与える言葉です。

いわゆる「だ・である調」の文章で用いられる表現ですが、活用が少々特殊ですので、ご注意ください。

活用形「だ」
未然形だろ
連用形だっ、で
終止形
連体形
仮定形なら
命令形×

連体形「な」のあとには「の・ので・のに」のみが続きます。

10. 「です」の用法と活用

助動詞「です」「丁寧な断定」のニュアンスを与える言葉です。

「トマトが好きです」など、いわゆる「です・ます調」の文章で使われる言葉です。

活用は以下の通り。

活用形「です」
未然形でしょ
連用形でし
終止形です
連体形です
仮定形×
命令形×

11. 「う」「よう」の用法と活用

助動詞「う」「よう」「推量」や「意思」の意味を与える言葉です。

「起きよう」「行こう」など、現代文では「これからそうしようと思う」という意思を表現する言葉ですが、古文的な表現では「〜だろう」という推量のニュアンスで使われます。

活用が特殊で、以下の通りです。

活用形「う」「よう」
未然形××
連用形××
終止形よう
連体形(う)(よう)
仮定形××
命令形××

12. 「ない」「ぬ」の用法と活用

助動詞「ない」「ぬ(ん)」「打ち消し」や「否定」の意味を与える言葉です。

「意味がなかろう」「待たせぬ」「そんなことはさせん」など古文的な表現になりますので、現代文ではあまり使われません。

加えて活用も特殊ですので、知識として知っておいて下さい。

活用形「ない」「ぬ(ん)」
未然形なかろ×
連用形なかっ、なく
終止形ないぬ(ん)
連体形ないぬ(ん)
仮定形なけれ
命令形××

13. 「まい」の用法と活用

助動詞「まい」「打ち消し推量」や「打ち消し意思」の意味を与える言葉です。

「彼のような大人にはなるまい」など少々古い言い回しになりますので、これも現代文ではあまり使われない、古典的な表現です。

活用形まい
未然形×
連用形×
終止形まい
連体形(まい)
仮定形×
命令形×

まとめ

助動詞は、全部まるまる覚えようと思うとかなり難易度の高い言葉です。

文章を書くうえで正しい表現がわからなくなったときに調べながら、少しずつ理解していきましょう。

まだ助動詞だけを見るのではなく、動詞や形容詞といった「文の成分」なども同時に理解することが大切です。あわせておさらいしておきましょう。

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