今回は「合わせる」と「併せる」の違いについて解説します。
基本的に、いくつかのものを一つにするなら「合わせる」を。並行して行うなら「併せる」を選ぶと良いでしょう。
なお、こういった言葉を「同音異義語」と言います。間違いやすい同音異義語は下記の記事にまとめてありますから、併せて参考にしてみて下さい。
「合わせる」と「併せる」の違いと使い分け方
「合わせる」と「併せる」には、下記の違いがあります。
- 合わせる:別々のものを、一つにする
- 併せる:別々のものを、一緒に行う
例えば、ここに粘土の塊が二つあったとしましょう。
それらを混ぜて一つの塊にしてしまうなら「混ぜ合わせる」と表現するので「合わせる」を使います。しかし二つの塊を一つにはせず、それぞれ並行して使うなら「併せて使う」と表現します。
二つのものを一つにするのか、あるいは一つにはせず同時に行うのか、と意味の違いを考えて使い分けましょう。
「合わせる」と「併せる」それぞれの意味
「合わせる」の意味
「合わせる」は、辞書では下記の意味を持つと定義されています。
- 二つ以上のものをつけて一つにする
- 薬や食品などを混ぜる、調合する
- 合計する
- 釣り合うように調整する
- 二つのものを一致させる
- 楽器を一緒に鳴らす
- 正しいかどうか調べる
「併せる」の意味
「併せる」は、実は辞書が定義する意味が曖昧になっている言葉です。
「二つ以上のものをつけて一つにする」の意味について「併せるとも書く」とされているため、その行為や現象がもつニュアンスごとに使い分けを考えることが大切です。
「合わせる」と「併せる」を悩みやすい文例
実際に文章を書くうえで「合わせる or 併せる」で表記を悩みやすい文例を考えてみました。下記4例も参考にしてみて下さい。
例1. この記事も「あわせて」ご覧下さい
記事を二つ合体させるわけではないため「併せて」が正解です。
「この記事も併せてご覧ください」と表記すると良いでしょう。
例2. この問題も「あわせて」考えましょう
問題をあわせる際は、基本的に「並行して考えましょう」というニュアンスですから「併せて」が正解になります。「この問題も併せて考えましょう」と表記するとよさそうです。
しかし仮に「問Aに問Bを合体させて、あらたな問Cという一つの問題にして考える」という意味合いで使うなら「この問題も合わせて考えましょう」が適しています。文が表現したいニュアンスにより考えることが大切です。
例3. 支払いは「あわせて」行えます
支払いを「合算する」意図をあらわす文であれば「合わせて」が正解です。「支払いは合わせて行えます」と表記しましょう。
しかし「Aの支払いを行った後、ついでにBの支払いもできるか聞かれたとき」などのシチュエーションでは、合算させるわけではなく並行して行うので「支払いは併せて行えます」が適しています。意図を汲み取って表現しましょう。
例4. 手を「あわせる」
手をあわせても完全にくっつく(一つになる)わけではありませんが、並行して行うわけではありませんので「合わせる」を使います。
「手を合わせる」と表記しましょう。
まとめ
「合わせる」と「併せる」を適切に使い分けるには、その文が伝える意図を正しく汲み取ることが大切です。
より正しく伝えるために、適した表記を選んでいきましょう。