副業禁止の会社でWebライターをする。それはなかなかチャレンジングな行為です。
基本的には会社の規則に従うべきだと考えます。しかし筆者自身も、以前は副業禁止の会社でライターやブロガーとして報酬を得ていた時期があります。
その経験も踏まえつつ、副業禁止の会社とライター業についての現状と意見をまとめました。
副業禁止でもWebライターはできる?
会社の規定が副業禁止になっていたとしても、やろうと思えばWebライターの仕事はできます。
フリーランスとして案件を受注するか、アルバイトとして雇われるような働き方であれば、Webライターの副業をすることは現実的に可能だということです。
会社にバレたときのリスクは一旦横に置いて考えると、そもそも会社員の副業は法律では禁じられておらず、厚生労働省は副業の普及促進を図っているほど。
裁判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当である。
出典:厚生労働省『副業・兼業の促進に関するガイドライン』
副業・兼業を禁止、一律許可制にしている企業は、副業・兼業が自社での業務に支障をもたらすものかどうかを今一度精査したうえで、そのような事情がなければ、労働時間以外の時間については、労働者の希望に応じて、原則、副業・兼業を認める方向で検討することが求められる。
とはいえこれは、あくまで「可能か不可能か」という話です。
職業選択の自由に則り、自分で選択してその会社に所属しているわけですから、基本的には会社の規定に従っておくべきではあります。
公務員は許可を得られれば副業ができる
公務員は、法律で「副業禁止」と定められています。しかし条文には、兼業について「許可を要する」と書かれていますので、申請すれば副業の許可を得られる可能性もあります。
国家公務員法第103条 職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
国家公務員法第104条 職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。
出典:国家公務員法
地方公務員法第38条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
出典:地方公務員法
とくに国家公務員の場合「単発的な執筆活動は兼業に当たらない」とする資料も見つかりました。
対象となる「兼業」とは、労働の対価として「報酬」を得て、事業又は事務に「継続的又は定期的に従事する」場合をいいます。
出典:内閣官房内閣人事局『国家公務員の兼業について(概要)』
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単発的な講演や雑誌等への執筆で報酬を得る場合は、「定期的又は継続的に従事する」ことに当たりません
Webライターの仕事も執筆活動ですから、副業の中では寛容に判断してもらえる部類であると考えられます。黙っておこなうのではなく、許可を得る方向で相談してみてはいかがでしょうか。
副業禁止の職場にWebライター副業がバレたらどうなる?
副業禁止の職場で働いている場合に、実際にWebライターの副業がバレてしまうとどうなるのでしょうか。
民間企業に勤めている場合と、公務員として働いている場合で大きく状況が異なりますので、それぞれ分けて解説していきます。
民間企業の場合は就業規則による
民間企業で働いている場合、副業禁止の規定は「就業規則」に記載されています。同様に副業がバレたときの処遇についても書かれているはずですから、会社の就業規則をよく確認しましょう。
例えば、下記のようなペナルティが課せられるような内容になっていることがほとんどです。
- 戒告:口頭で注意されること
- 譴責:始末書を提出させられること
- 減給:給料が引かれること
- 出勤停止:一定期間働けなくなること
- 降格:役職を下げられること
- 解雇:会社を辞めさせられること
副業禁止の規定を設定している意図や背景によって、就業規則の内容も様々です。
公務員の場合は懲戒の対象になる
公務員の場合、許可を得ず副業(正確には「兼業」の記載です)していることがバレると懲戒の対象になります。
平成29年に衆議院にて提出された『公務員の副業に関する質問主意書』によると、過去に下記のような懲戒の事例があるとされています。
総務省職員が不動産賃貸の自営兼業をしていたことの承認申請を怠ったことにより、戒告の懲戒処分を受けたり、滋賀県甲良町教育次長が約六年間にわたりテニスコーチをして約八十五万円の報酬を得ていたりなどとして、減給十分の一を三か月、税務課主事に降格などの処分をされた事例も過去には存在する。
出典:公務員の副業に関する質問主意書
しかしそれと同時に、副業を解禁する意見や動きも出てきています。現状も承認を得られれば兼業ができますので、基本的には黙っておこうのではなく申請してみると良いでしょう。
Webライターの副業が会社にバレるタイミング
Webライターの副業をしていたとして、いつどのタイミングで会社へとバレる可能性があるのか解説していきます。
住民税の特別徴収額
副業収入に対して確定申告をすると、会社からの収入外の部分に掛かる税金を納める必要が出てきます。
その中の住民税は、支払い方法を「普通徴収」と「特別徴収」の2種類から選べます。特別徴収を選ぶと、働いている会社の給与から毎月一定額を天引きして支払う形にできるのですが、副業収入を特別徴収にしてしまうとバレます。
会社側が計算した住民税の額よりも多い額が特別徴収されることになりますので、はっきりとした収入源までは伝わらないものの「副業か何かの収入があるんだな」とバレます。
徴収の種類は、確定申告の書類を作るときに選べますので、間違えないようにしておきましょう。
SNSやブログからの身バレ
勤めているのが世間のイメージを大切にする会社だったり、不正に対して慎重な会社だったりすると、定期的に社員のSNSなどを調査している可能性があります。そうでなくとも、たまたま見つかることもあります。
もちろん顔も名前も出さずに活動していればそうそうバレることはありませんが、たまたま写真に見たことのあるものが写っていたり、活動している地域に見覚えがあったなら、本人と結び付けられることもあります。
会社が副業禁止の場合は、不用意に副業に関する発信をするのは避けておくと良いでしょう。
同僚との世間話
ちなみに副業がもっともバレてしまいやすいのは、世間話です。
まさかと思うかもしれませんが、人間はとにかく喋りたくなるものです。Webライターの副業がうまくいっていると、仲の良い同僚には自慢したくなるでしょうし、その同僚も「Webライターいいらしいよ」と、誰かに言いたくなってしまいます。
ちょっと話したことから上司や人事の耳に入り、バレて呼び出される可能性はあります。
もしも副業禁止の会社で黙って副業をするのであれば、絶対に誰にも言わない意志を持っておこないたいところです。
基本的には、会社の規則に従いましょう。
副業禁止の会社でバレずにWebライターの仕事をするコツ
最後に、副業禁止の会社でバレずにWebライターの仕事をするコツについて解説していきます。
もしバレても、さすがに責任までは取れません。あくまで自己責任でお願いします。
年間の副業所得を20万円以下に抑える
年間の副業所得が20万円以下の場合、確定申告が不要とされています。
給与の収入金額の合計額から、雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、かつ、給与所得および退職所得以外の所得金額が20万円以下の人は、申告の必要はありません。
出典:国税庁『給与所得者で確定申告が必要な人』
所得とは、売上額から経費を引いた金額のことです。
もちろん自分で言ってしまったり、SNSからバレてしまったりする可能性は残されていますが、副業報酬を得ていた証拠が確定申告という形では残りませんから、本当に副業をしていたのか誰にもわかりません。
配偶者や同居人のボランティアとして活動する
配偶者や同居人が副業をしても問題ない状況なら「その方の編集プロダクションをボランティアで手伝っている」という形にすれば、副業としてはバレない可能性があります。
例えば奥さんの名義や口座でクラウドソーシングのアカウントを作り、ボランティアでライターの仕事を取る手伝いをして、ボランティアで執筆の手伝いをすると、報酬額は奥さんの口座に振り込まれます。もちろん奥さんの名義で確定申告などは必要になりますが、ご自身はあくまでボランティア活動をしていただけです。
- なおボランティアとは、厚生労働省によると「自発的な意思に基づき他人や社会に貢献する行為」とされています。
ただし会社の規模や業種によっては、配偶者や家族も含め副業禁止になっているセキュリティの厳しいところもありますので、その辺りは就業規則をよく確認してください。
副業禁止の会社でライター副業をしていた筆者から一言
筆者が以前勤めていた会社も、副業禁止でした。しかしWebの仕事に興味を持ち、転職する準備としてライター業をしたり、ブログアフィリエイトで収益を得たりしていました。
基本的には会社の規則に従うべきだとは思いますが、個人的には「バレたら転職すればいいや」という気持ちがあるなら、思い切ってチャレンジしてみるのも人生だと思っています。自分はとくにバレませんでしたが、結果的にメディア部署がある会社に転職し、今はインハウスのSEO担当やメディア責任者として働いています。
Webライターの仕事は、向いている人には本当に向いている素敵な仕事です。
よくよく検討して、チャレンジしてみてください。