今回は「書評の書き方」について解説します。
読書が趣味だと、多くの方が「書評ブログ」にチャレンジしたいと考えます。しかしどのように、何を書けば良い書評になるのか理解している人は、さほど多くありません。
ぜひ当記事を参考に基本的な書評の書き方を押さえていただき、多くの人から読んでもらえる書評を書けるよう練習してみてください。
※基本的な「ブログの書き方」については、下記の記事をご覧ください。
書評とは
書評とは「本を評価する文章」を指します。その本を読んでどう感じ、どう評価したのか「読者側の主観」に基づいた情報が求められます。
要するに「この本を読んだら、こんな風に感じたから、こんな人におすすめですよ」と伝えるような内容ですね。
本に書いてある内容を説明(ネタバレ)してしまうのではなく、あくまで「その本を読んで読者が得られるベネフィット」「その本が提供してくれる読書体験」にフィーチャーした内容が書かれているのが、良い書評と言えるでしょう。
書評の対象となる書籍
書評を書く対象は、基本的には「文章」が主体になっていればなんでも構いません。
ビジネス書、ミステリー小説、エッセイなどの書籍はもちろん、漫画の「書評」を書くことも珍しくありません。
特にルールはありませんから、文章が主体になったコンテンツを評価する際は「書評」としてしまって問題ないでしょう。
「書評」と「読書感想文」の違い
書評と読書感想文には「評価」するか否かに違いがあります。
読書感想文は、あくまで「感想文」です。その本を読んでどう感じたか豊かに表現することを目的としており、特に誰かのために書く文章ではありません。一般的には情操教育の一環として書くものです。
一方で書評は「評価」する文章です。第三者に本の評価を伝える目的で書くため、その本を読んだことがない他者からみて理解できる文章でまとめる必要があります。
「書評」と「要約・図解」の違い
「書評」と「要約・図解」には「内容のネタバレ」をするか否かに違いがあります。
要約や図解は「読んでいない人に本の中身を端的に伝える」ような目的で書きます。どうしてもネタバレを含みますし、読者もそれを期待しています。しかし勝手に書いてしまうと、場合により権利問題に発展する可能性を含みます。
一方で書評では、基本的にネタバレはしません。一部説明に必要な箇所で引用をすることはあっても、これから本を読む人の楽しみを奪うのは御法度です。あくまで第三者が、その本を評価するために書くものです。
書評を読みにくる人の心理
書評を読みたいと感じる心理は、大きく3種類に分かれます。まずは読者の心理を理解した上で、そのニーズを満たす書評を書けると良いでしょう。
その本に買う価値があるのか知りたい
書評を読む上で、もっとも一般的なモチベーションと言えるのが「次に読む本を探している」心理です。
その本が自分に合っているのか、誰かの感想を聞いて判断したいと考えており、必要外のネタバレを嫌います。
この場合「この人が良いといっているなら買ってみよう」「なるほどホームズ好きな人が推しているなら自分も読んでみよう」と、書評を書いた人のプロフィールが重視される傾向にあります。
他の読者がどう感じたのか知りたい
次に多いのが、すでにその本を読んだ人が「この感想を持ったのは自分だけなんだろうか」と他人に聞いてみたい心理です。
その本が伝えていることの受け取り方として、自分の感想は一般的なのか、あるいは別の見解があるのか。伏線が回収されていないと感じたけれど、他の人はどう思ったのか。このようなことを、書評で確認しようと考える人が多いのです。
エッセイや難解なミステリー、ディストピア小説などで、しばしば見られるニーズです。
読むのは面倒だけど知ったかぶりをしたい
そしてとても多いのが「ネタバレを求めるニーズ」です。
「読む時間やお金はないけれど、中身だけさらっと知っておいて流行りについていきたい」と考える心理は、本の著者からはあまり歓迎されるものではありません。このニーズに向けて書くのは書評ではなく「ネタバレ」ですから、混同しないように注意しましょう。
マーケティングの一環で、著者が承諾して公開するケースは別ですが、許可なく行われている書籍の要約や図解は半ば放任されているのが実情です。
個人的には、著作者に正しく利益が還元される世の中になってほしいと感じています。
書評の書き方
せっかく書評を書くなら、多くの人に読んでもらいたいものです。
ブログなどで書評を執筆する際、多くの読者を獲得できる書評の書き方を覚えておきましょう。
書評の切り口を工夫する
一口に「書評を書く」といっても、その切り口は色々あって良いはずです。
例えば太宰治の『人間失格』の書評を書くとしましょう。ただただ自分の感じたことを書こうと思っても、テーマが漠然としてしまって、結局何が言いたいのかまとめるのが難しい場合があります。
そのときは、読者が実際に検索しているキーワードからヒントを得ます。
Googleキーワードプランナーで調べたところ、例えば「人間失格 つまらない」「人間失格 共感できない」というキーワードがいくらか検索されていることがわかりました。
サジェストワードを見てみても、下記の通り確かにネガティブなキーワードが載っています。
この結果を見ると、例えば「人間失格がつまらないと言われる理由とは?」「人間失格の意味が分からないので3回読み直して評価してみた」などの切り口の記事が求められている可能性が考えられます。
テーマ的に「このように言われているが、自分としてはこのように評価した」と伝えやすく、また具体的なキーワードを狙いやすく、SEOに強い書評を書く一つの良い手段になります。
特にネガティブなワードを覆すような書評を書くのは、著者からみても嬉しいことですし、ポジティブな意見を広める意味で社会貢献にもつながると感じます。
自分の立ち位置と、本への評価を明確にする
書評を書く上でもっとも大切なのが「誰が、どう評価したのか」の2点です。そしてSEO対策としても、著者情報と記事の主張を明確にするのはとても大切なことです。
よってまずはご自身の立ち位置を明確にすることをおすすめします。ミステリー小説が好きなのか、普段あまり本を読まないのか、年間100冊以上読んでいる本の虫なのか、どんな人物なのかわかる情報を明記しましょう。
その上で「こんな立場の人間から見て、こんな風に評価した」と記すことで、同じような属性の読者からの共感を得やすくなります。
例えば「あまり本を読んだことがないけれど、この本は読みやすいし◯◯の役に立った」と評価するなら、同じように普段本を読まない人に「じゃあ読んでみよう」と感じてもらえる可能性が考えられますよね。
このように誰がどう感じたのか明確にするのが、書評を書くうえでも、SEO対策をする上でも大切なことの一つです。
読者のために書く意識を持つ
「書評と読書感想文の違い」の項目でも触れましたが、書評は誰かのために書くものです。
それが購入を検討しようとしている人なのか、すでに読み終えて他の人の感想を知りたい人なのかは時と場合にもよりますが、とにかく書評を読みたい人たちが求めている情報を書くことが、SEO対策に繋がります。
ですから、書く内容は「こう感じた」だけでなく「こう感じたから、こう評価している。こんな人にとっては、こんな風に役立つのではないか」など、読者をイメージしてサービス精神を持って書くことをおすすめします。
そうすることで読者に求められる書評になり、結果的にSEO対策にも繋がります。
読書から得られた具体的な体験を、主観を入れながら書く
書評において、ありきたりな情報は求められていません。SEO対策においても「オリジナリティ」は重要な評価指標だと言われています。
概要を知りたいだけなら、Amazonの書籍ページなどで「あらすじ」を読めば事足りますし、いまは数十ページを立ち読みできてしまう本がほとんどです。
例えば「読みやすかった」「ためになった」「面白かった」と感じた理由を細かく分解して、より深く具体的に、主観を交えながら書評を書くことをおすすめします。
SEO対策として、キーワードごとに求められる情報は変わります。例えば「読書とは」などの漠然としたキーワードでは一般論が求められることもありますが、本を評価するキーワードに一般論はあまり求められない傾向にあります。
「自分にしか書けない書評」を目指して、ユニークな記事を書いてみてください。
なお基本的なブログ記事の書き方は、下記の記事でも解説しています。
SEOに強い書評ブログ用テンプレート
書評は公式のルールがあるわけではありませんから、好きなように書いて問題ありません。
しかしまったくどう書けば良いのかわからない場合は、一度下記テンプレートに沿って書いてみて下さい。
- リード文
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書評の筆者情報、問題提起、評価のまとめ
- 『書籍名』とは(H2見出し)
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正式なタイトル、著者情報、刊行年、受賞歴などの書籍情報。
・あらすじ(H3見出し)
引用ブロックであらすじを書く(必須ではない)
- 『書籍名』が〜〜と言われるのはなぜ?(H2見出し)
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必須ではないが、何か特定のテーマで問題提起をした場合はここで見解を述べる。
- 『書籍名』の書評(H2見出し)
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総評テキスト
・特に評価すべきポイントの見出し1つ目(H3見出し)
評価したポイントと、理由、場合により該当箇所の引用。
・特に評価すべきポイントの見出し2つ目(H3見出し)
評価したポイントと、理由、場合により該当箇所の引用。
・特に評価すべきポイントの見出し3つ目(H3見出し)
評価したポイントと、理由、場合により該当箇所の引用。
- まとめ
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評価のまとめ。類似書籍の紹介。
例えば筆者の個人ブログの記事に、『葬送のフリーレン』というイチオシ漫画の書評があります。
上記のテンプレートに沿って書いていますが、執筆時点で月に2,000人ほどの方が検索から読みに来てくれています。イメージが湧かない場合は参考にしてみてください。
書評ブログの魅力とデメリット
書評を書く練習をするには、書評ブログを運営するのがおすすめです。
そんな書評ブログの魅力と、現実的なデメリットもお伝えしておきます。
読書が趣味なら、自然と続けやすい
ブログは、書き始めて1年継続できない方が9割以上を占めると言われるほど、継続が難しい作業です。
しかし読書が趣味なら、読んで感じたことを記すわけですから、ブログを続けるというよりも「読書を楽しむついでにメモを残す」くらいのモチベーションで長く続けやすい傾向にあります。
書評ブログは読んだ本の記録としても便利ですから、読書趣味の人には特におすすめです。
本の人気にアクセスや難易度が大きく左右される
書評ブログを本格的に運営しようと思うと、多くの方がアクセスの壁にぶち当たります。
検索数が本の人気と比例しますし、人気の本ほどSEO対策の難易度が上がりますので、伸び悩む時期が長い傾向にあります。
例えば「銀河鉄道の夜」なんてビッグタイトルで検索上位表示を実現すれば、それだけで月に何千人もの読者を獲得できる可能性があります。しかしビッグタイトルはライバルが多く、上位表示させこと自体が難しいのです。
一方で誰も知らない本の書評を書いても、検索する人がいなければ書評も読まれません。
書評ブログは「初心者でも攻略しやすい穴場なキーワード」が少ないジャンルとも言えますから、アクセスファーストで考えると苦しむかもしれません。
大きな収益を上げるのは一般的に難しい
書評ブログは、収益目的で運営すると、なかなか上手くいきにくいかもしれません。
メインの収益は、まずは書評を書いた本の売上になります。1冊売れて数円〜数十円程度ですから、かなりの冊数を販売しなければまともな収益になりません。
そこで多くの方が「本の読み放題サブスク」や「オーディオブック」などの広告を貼ることを検討し始めますが、そちらのキーワードは激戦区になっています。
もちろん本格的に攻略しようと思えば、一定の収益を上げることはできると思いますが、収益ファーストで考えるなら別のジャンルの方が効率が良い可能性があります。
まとめ
書評は、本の評価を第三者にわかりやすく伝える文章です。
読みに来た方に「それなら自分もこの本を読んでみよう」「なるほどそんな見解があるのか」と思ってもらえるような、オリジナリティがある書評が書けるよう練習していって下さい。
また出版物は、著作権法で守られていることも忘れてはなりません。引用の範囲を超える「転載」や「ネタバレ」は許されませんから、誰かの権利を侵害してしまわない範囲で、役に立つ書評を書いていきましょう。