今回は、大人でも意味を間違いやすい同音異義語をまとめました。
例えば「清算と精算」「配付と配布」それぞれ同じ読みの言葉ですが、どう使い分ければ良いかご存じですか?
今回は特に間違いやすい52種類の同音異義語を一覧でまとめましたので、文章執筆や言葉選びの参考にして下さい。
同音異義語とは
同音異義語とは、発音が同じで意味が異なる言葉を指します。表記したときの漢字も異なります。
例えば「夏季」と「下記」と「牡蠣」など。
上記3つの言葉はどれも「かき」と読みますが、音だけで聞くと何を意味しているのか判断できません。前後の文脈から考える必要があります。
このような「同音異義語」は、口頭で伝えるときはもちろん、書き分けるときにも適した漢字を用いるよう注意していきたい言葉です。
間違いやすい同音異義語の見分け方
例えば「正確」と「性格」などは意味がまったく違うので、漢字の書き分けや見分け方は容易です。
しかし「精算と清算」「配布と配付」など、漢字が似ていたり、同じような用途で使ったりする言葉だった場合、どう見分ければ良いのでしょうか。
上記のような間違いやすい同音異義語を正しく見分けるには、漢字の持つ意味を考えることが大切です。
例えば「精算」と「清算」について考えてみましょう。
「きめ細やか」という意味を持つ「精」と、計算の「算」が合わさると、何か細かい計算がなされることが考えられます。一方で「すこやか、けがれがない」などの意味を持つ「清」と「算」が合わさると、概念的にけがれをなくすような行為を示すことを推測できます。
このように、まずは漢字の持つ意味を考えてみることが大切です。しかしもちろん、漢字の意味から推察するのが難しい同音異義語もあります。
調べられる状況にあるなら、面倒がらずに調べて正しい言葉を用いるようにしましょう。
同音異義語一覧
今回は、Google検索でよく意味の違いを検索されている同音異義語をまとめました。具体的には、執筆時点で毎月100回以上検索されている言葉を、検索数の多い順に並べています。
ちなみによく検索される同音異義語だと、月間10,000回以上も調べられています。よって違いがわからなかったとしても、それは決して恥ずかしいことではありません。
ぜひこの機会に、間違いやすい同音異義語の正しい使い分けを知っておいてください。
「精算」と「清算」
- 精算:金額を計算すること、立て替えていたお金を払い戻すこと
- 清算:関係性や問題を整理・解消すること
よって同じお金に関する話題でも、経費を「せいさん」するときは「精算」を使い、借金を「せいさん」するときは「清算」を使います。
「配布」と「配付」
- 配布:広く一般に配る
- 配付:特定の相手に配る
例えば駅前でチラシを配るなら「配布」する。友人にだけクリスマスパーティーの案内を配るなら「配付」することになります。
「回答」と「解答」
- 回答:答えのない質問に答える
- 解答:正解のある問題を解く
例えばアンケートに「かいとう」するときは「回答」を。数学の試験に「かいとう」するときは「解答」を使います。
「早い」と「速い」
- 早い:思ったよりも時間が過ぎていない、まだその時期ではない
- 速い:動作・進行がすみやかである
時間が過ぎるのが「はやい」場合は「早い」を。走るのが「はやい」場合は「速い」を使います。
「意思」と「意志」
- 意思:感情や気持ち
- 意志:「ある or ない」であらわせる思考
例えば「働く”いし”がありますか?」と聞く場合は、あるかないかで答えられるため「意志」を使います。あるいは「働きたい”いし”をどのくらいお持ちですか?」と聞く場合は、ある or ないで答えられないため「意思」を使います。
「特徴」と「特長」
- 特徴:他と比べて目立つ点
- 特長:他と比べて「良い方向に」目立つ点
例えば製品の「とくちょう」を伝えるときに、良し悪しどちらも目立った点を整理する場合は「特徴」を。長所だけを書く場合は「特長」あるいは「特徴」どちらを使っても良いことになります。
「改訂」と「改定」
- 改訂:誤った文章や、ふさわしくないルールを修正すること
- 改定:制度やルールの内容を変更し、あらたに定めること
例えば誤っていた文章や、運用上ふさわしくなかったルールを直す場合は「改訂」を。バスの運賃など、誤っていたわけではないルールを変更する場合は「改定」を使います。
「抑える」と「押さえる」
- 抑える:量を一定以下に保つ
- 押さえる:動かないようにする、封じる、理解する、確保するなど
例えば「感情をおさえる」なら、感情を一定以下に保つ意味を持つため「抑える」を。「ポイントをおさえる」なら理解する意味で「押さえる」を使います。
「関心」と「感心」
- 関心:物事に対する興味があること。「もつ」もの。
- 感心:立派なことに心動かされること。「する」もの。
例えば誰かがボランティア活動をしていた場合。その行動に「良い人だなあ」と感じたなら「彼に感心した」とあらわします。ボランティア活動をしている理由や背景が気になる場合は「彼の行動に関心を持った」となります。
「解放」と「開放」
- 解放:束縛されていたものを、精神的、物理的に自由にすること。ときはなつ。
- 開放:制限をなくして自由に出入りさせること。あけはなつ。
例えば「学校の文化祭」のシチュエーションで、一般人でも入れるよう学校が「かいほう」されている場合は「開放」を。文化祭が終わって準備作業から「かいほう」された場合は「解放」を使います。
「追求」と「追及」と「追究」
- 追求:ある物事を求めること
- 追及:ある物事について問い詰めること
- 追究:ある物事を調べ、解き明かそうとすること
例えば「仕事」の話。成果を「ついきゅう」するなら「追求」を。納期に遅れた理由を取引先に「ついきゅう」するなら「追及」を。成果が出た要因を「ついきゅう」するなら「追究」を使います。
「鑑賞」と「観賞」
- 鑑賞:作品を理解したり、より深く味わう目的で見るとき
- 観賞:作品を娯楽の目的で見るとき
例えば人気アーティストのライブを見るなら「観賞」を。オーケストラのコンサートは「鑑賞」を使う傾向にあります。その時々で、より自身が表現したいニュアンスにあった言葉を選びましょう。
「交代」と「交替」
- 交代:役割を引き継ぐこと
- 交替:順番や役割をかわるがわる行うこと
例えば仕事の役割の話だとして、社長が「こうたい」するなら「交代」を。店舗でレジ担当と接客担当を「こうたい」するなら「交替」を使います。
「移動」と「異動」
- 移動:物理的に位置を変えること
- 異動:仕事上の役割を変えること
例えば仕事上、会議に参加するために別オフィスに「いどう」する場合は「移動」を。配属が総務部から経理部に「いどう」する場合は「異動」を使います。
「体制」と「態勢」
- 体制:組織やシステムのあり方
- 態勢:身構え、心構え
例えば仕事の話で、会社側が勤怠システムなどの「たいせい」を整える場合は「体制」を。社員側がいつでも出勤できる「たいせい」でいる場合は「態勢」を使います。
「登る」と「上る」と「昇る」
- 登る:自らの意志で、低い場所から高い場所へと物理的に移動する
- 上る:物理的、概念的な意味で高い場所へと移動する
- 昇る:天高い場所に移動したり、何かがあらわれる
例えば富士山に関する話題で、八合目まで「のぼる」なら「登る」を。登山者が累計100万人に「のぼる」場合は「上る」を。富士山をバックに太陽が「のぼる」場合は「昇る」を使います。
「要件」と「用件」
- 要件:必要な条件
- 用件:なすべきこと
例えばプログラミングの話題で、システム開発に関する「ようけん」を定義する場合は「要件」を。クライアントに相談したい「ようけん」がある場合は「用件」を使います。
「保証」と「保障」と「補償」
- 保証:何かに責任を持つこと。責任
- 保障:何かを保護すること。権利
- 補償:何かあったときに補うこと。義務
例えば家電を買うときには「3年保証」などの保証がついており、加入すると「最低限3年の間は使えるようにしますよ」と「保証」してもらえます。すると修理を受ける権利が「保障」されて、もし壊れたら「補償」が受けられます。
「以外」と「意外」
- 以外:ある物事を除くこと
- 意外:思っていた状態と違っていること
例えば電話を日中「いがい」にかけてきてほしい場合は「以外」を。電話をかけてきたのが「いがい」だった場合は「意外」を使います。
「異常」と「異状」
- 異常:通常とは異なること
- 異状:通常とは異なる状態であること。「異常な状態」の略称
例えばシステムにバグがあった場合、その現象自体は「異常」です。バグによって妙なエラーが引き起こされている状況を「異状」とあらわします。
「健診」と「検診」
- 健診:「健康診断」の略称
- 検診:症状に対する検査を行うこと
例えば「健診」に行って「検診」を受ける、といった用法になります。
「決済」と「決裁」
- 決済:何かの対価として料金を支払うこと
- 決裁:何かを判断して決めること
例えば会社の部署で、あらたな文書校正ソフトを導入する場合。部長の「けっさい」を取る場合は「決裁」を。実際にサービスを利用する際に「けっさい」する場合は「決済」を使います。
「歳」と「才」
- 歳:年月に関する概念を表現する
- 才:能力に関する概念を表現する。才の略字として使う
年齢をあらわす場合は「歳」が適していますが、小学校で「歳」を習わないことから、略字として「才」が使われます。
「施工」と「施行」
- 施工:工事や建築をおこなう
- 施行:制度やルールを実際に適用する
例えばビルを建てるときは「施工」を。市や区が工事の騒音に関する条例を出すときは「施行」を使います。
「並行」と「平行」と「平衡」
- 並行:二つのものが並んでいること
- 平行:二つの直線や概念が交わらない状態で並んでいること
- 平衡:釣り合いが取れていること
例えばオフィスで、田中さんと山田さんの机が並んでいることは「並行」を。二人の意見が交わらないことは「平行」を。部署内で二人のパワーバランスが丁度良く取れていることは「平衡」を使って表します。
「主催」と「主宰」
- 主催:中心となってイベントなどをおこなうこと
- 主宰:ものごとを支配すること、支配する人
例えばイベントを行うことについては「主催」を。そのイベントを取り仕切ることについては「主宰」を使います。
「辞典」と「事典」
- 辞典:言葉についてまとめたもの
- 事典:モノやコトについてまとめたもの
例えば漢字や英語を調べるときは「漢字辞典」「英和辞典」を。歴史や動物について調べるときは「歴史事典」「動物事典」を使います。
「送る」と「贈る」
- 送る:物を届ける、渡す
- 贈る:あらたまって用意した物を、感謝や祝福の気持ちとともに与える
例えば「現金」があったとして、親が子供に仕送りする際は「送る」を。お祝いとして渡すときは「贈る」を使います。
「要項」と「要綱」
- 要項:知っておくべきポイントをまとめたもの
- 要綱:大元になる方針などをまとめたもの
例えば学校が学生を募集する場合は「募集要項」を。学校を設立する際に指針をまとめる際は「設立要綱」を作成します。
「適用」と「摘要」
- 適用:当てはめて処理すること
- 摘要:要点をかいつまむこと
例えば「法律を適用する」あるいは「法律の摘要を読む」と使います。
「好意」と「厚意」
- 好意:好ましいと思う気持ち。あるかないかで表す
- 厚意:感謝や親愛の気持ち。あるかないかでは測らない
例えばプレゼントをもらった場合、その理由を「好意があるから」あるいは「ご厚意から」などと表現します。
「適正」と「適性」
- 適正:基準や条件と合っていること
- 適性:性格や素質に合って向いている事柄
例えば明るく人と喋るのが好きな人は「営業職に適性がある」でしょうし、その人を営業部に配属した人事は「適正な判断をした」と言えそうです。
「合わせる」と「併せる」
- 合わせる:二つ以上のものを一つにくっつける
- 併せる:二つ以上のものを並行しておこなう
例えば2色の絵の具を混ぜてしまうときは「合わせる」。2色の絵の具を別々に、同じ箇所に塗るときは「併せて」塗ることになります。
「時期」と「時季」と「時機」
- 時期:あることを行うタイミング、一定の期間
- 時季:あることを行うのにふさわしい季節
- 時機:あることを行うのに丁度良いタイミング
学校に入学する「じき」は「時期」を。そろそろクリスマスの「じき」なら「時季」を。勉強を重ねて資格試験にチャレンジする「じき」なら「時機」を使います。
「整える」と「調える」
- 整える:秩序づける、あり方を正しくする
- 調える:うまくまとめる、必要なものを揃える
例えば文具を片付けるときは「文具を整える」を。必要な文具を揃えたときは「文具を調える」を使います。
「競争」と「競走」
- 競争:他と優劣を争うこと
- 競走:物理的な速さを比べること
スピード勝負の「マラソン」「ボートレース」などで争う場合は「競走」を。それ以外の「受験」「出世」などで争うときは「競争」を使います。
「過程」と「課程」
- 過程:ものごとが進行していく経過
- 課程:一定期間で割り当てられる学習内容や順序
例えば仕事の研修で、プログラムそのものを指す「研修かてい」には「課程」を。プログラムの経過的な意味「研修のかてい」を示すときは「過程」を使います。
「機運」と「気運」
- 機運:丁度良いタイミングが来ていること
- 気運:何かの進行する傾向、時世の成り行きのこと
例えばタピオカが流行る「きうん」が来ているときは「気運」を。それを踏まえてタピオカ屋を始める「きうん」が来たときは「機運」を使います。
「脅威」と「驚異」
- 脅威:おびやかされること
- 驚異:おどろくこと
例えばマラソンで「きょうい」的な記録が出たときは「驚異」を。ライバルがタイムを伸ばしてきて「きょうい」を感じるときは「脅威」を使います。
「絶対」と「絶体」
- 絶対:かならず、他に比較することなく
- 絶体:九星術の用語
「絶体」は、一般的な言葉では「絶体絶命」以外には使われません。必ず何かを行うなどの「ぜったい」は、すべて「絶対」を使います。
「収集」と「収拾」
- 収集:ものを集めること、コレクションすること
- 収拾:拾い集めること、うまくまとめること
例えばポケモンカードをコレクションするときは「収集」を。道に落ちていたカードを拾ったときは「収拾」を使います。
「当てる」と「充てる」
- 当てる:なにかに対応させる
- 充てる:ある目的にあてがう
例えばボールを的に「あてる」ときは「当てる」を。時間を投擲の練習に「あてる」ときは「充てる」を使います。
「必死」と「必至」
- 必死:覚悟を持って全力を尽くすこと
- 必至:必ずそうなること
例えば仕事の納期が差し迫っているときに「ひっし」で働く場合は「必死」を。そのせいで残業が「ひっし」になる場合は「必至」を使います。
「機械」と「器械」
- 機械:内蔵した動力を使い、決まった動作をする道具
- 器械:動力を持たない道具
例えば顕微鏡などは「器械」と呼び、ロボットなどは「機械」と呼びます。
「講演」と「公演」
- 講演:大勢の聴衆に向けて特定の題目について話すこと
- 公演:大勢の人のいる前で演技や演奏を行うこと
例えばサーカス団がいたとして、演技をするのは「公演」です。しかし座長が誰かから依頼されて「どうやって日本一のサーカス団を作ったのか」を話すときは「講演」を使います。
「内蔵」と「内臓」
- 内蔵:中に入っていること
- 内臓:体内の臓器
例えば心臓などの臓器は「内臓」です。パソコンにHDDが「ないぞう」されている際は「内蔵」を使います。
「現状」と「原状」
- 現状:現在の状態
- 原状:もとの状態
例えば家を引っ越す際、もとの状態に戻す「げんじょう復帰」では「原状」を使います。不動産屋に家の「げんじょう」を見てもらうときは「現状」を使います。
「異義」と「異議」
- 異義:意味が違うこと
- 異議:反対の意見であること
例えば何かミスを押し付けられたときに「いぎを唱える」場合は「異議」を。相手の認識と「いぎ」が異なる場合は「異義」を使います。
「正当」と「正統」
- 正当:筋が通っている
- 正統:正しい血統や血筋であること
例えば王子の言うことが真っ当で「せいとう」な場合は「正当」を。王子が正しく王の血を引いていて「せいとう」な後継者である場合は「正統」を使います。
「侵入」と「進入」
- 侵入:不法に押し入ること
- 進入:進んである場所に入ること
例えば家のガレージに車を入れる場合は「進入」を。泥棒が家に入る場合は「侵入」を使います。
「終了」と「修了」
- 終了:何かが終わること
- 修了:学問において、一定期間の学習プログラムを済ませること
例えば学校の授業が「しゅうりょう」する場合は「終了」を。教育課程を「しゅうりょう」した場合は「修了」を使います。
「保険」と「保健」
- 保険:事故などの損害を補償する制度のこと
- 保健:健康を保つこと
例えば車の「ほけん」に入るときは「保険」を。学校の「ほけん」の授業は「保健」を使います。
まとめ
同音異義語は、その漢字の持つ意味をよく考えれば判断できるものも沢山あります。迷ったとき、時間が許すなら一旦落ち着いて考えてみるのも良いかもしれません。
読む相手に意図を正しく伝えられるよう、ぜひ適切な言葉を選んで使っていきましょう。