当記事では、日本語文法における「敬語連結」について解説します。
敬語連結の意味や用法、具体例などをわかりやすくご紹介しますので、ぜひおさらいしていって下さい。
敬語連結とは
敬語連結とは、一つの文において敬語を連結させて使う日本語表現のこと。日本語文法上、下記のように定義されています。
二つ以上の語をそれぞれ敬語にして、接続助詞「て」でつなげたもの。
出典:文化庁『敬語の指針』
例文を用意しました。
「ご覧になっていらっしゃる」を分解すると「ご覧になる+いる」という要素になりますので、それぞれの言葉を尊敬語にして連結させたこの文は「敬語連結」を使った表現だと言えます。
なお敬語連結は、文法上とくに誤用などではなく、一般的に使って良いとされる表現です。
敬語を使う上で、ぜひ一つの知識として知っておいて下さい。
敬語連結の種類と具体例
敬語連結を使うシーンには、大きく「尊敬語」と「謙譲語」の2種類があります。
丁寧語はそもそも一文で何度使っても問題ないとされていますので、わざわざ連結するのは、尊敬語と謙譲語のみと言うわけですね。
それぞれ例を挙げながら解説していきます。
尊敬語の敬語連結
尊敬語の敬語連結は、例えば以下のような文のことです。
- 是非いらしてください。
- 召し上がっていらっしゃる。
1)は「行く」の尊敬語である「いらっしゃる」と「ください」を連結させた表現。
2)も同様に「食べる」の尊敬語である「召し上がる」と「いる」の尊敬語である「いらっしゃる」を連結させた表現です。
このように、まったく別の単語をそれぞれ尊敬語にして連結させるのが、敬語連結の一つの用法です。
謙譲語の敬語連結
謙譲語の敬語連結は、例えば以下のような文のことです。
- ご案内してさしあげる。
上記文は「案内する」の謙譲語である「ご案内する」と「あげる」の謙譲語である「さしあげる」を連結させた表現です。
このように、まったく別の単語をそれぞれ謙譲語にして連結させるのが、敬語連結の一つの用法です。
二重敬語との違いに注意
敬語連結と似た表現に「二重敬語」があります。
使っても問題ないとされる連携敬語に対して、二重敬語は「誤用だ」「失礼だ」と言われがちな表現ですので、その違いを知っておきましょう。
二重敬語とは、同じ種類の敬語を同じ言葉に対して重ねて使っている日本語表現のこと。
例文を用意しました。
- お召し上がりになられますか?
- 先生がおっしゃられた。
- 拝見させていただく。
上記文は、いずれも二重敬語を使ってしまっている表現です。どこが二重敬語になっているのかわからない方は、ぜひ下記の記事でおさらいしておいて下さい。
まとめ
敬語連結は少し難しい表現ですが、うまく活用すれば文章表現をもっと豊かに彩れるテクニックです。
ぜひ理解を深めて、よりわかりやすく、なおかつ文法的に正しい文章を書いていきましょう。