「可能です」は敬語として使って良い?意味や用法、言い換え例を解説

今回は、原稿執筆の現場でもよく使われる「可能です」という表現について解説します。

「です」がついた丁寧な敬語表現ですが「できるかできないかで言えば、できる」という微妙なニュアンスを含む言葉でもあります。

さまざまなシーンで使えて便利ではありますが、使いどころや表現したいニュアンスは、よく考える必要があるかもしれません。

「可能です」の意味や用法、言い換え例まで解説していきます。

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\ この記事を書いた人 /

たくろー
Webディレクター
ライティングから編集、校正、ディレクション、SEO対策、アクセス解析、撮影、画像編集、Web制作と、なんでもやってるwebディレクターです。
現在はIT企業でインハウスSEO担当兼、メディア運営責任者・編集者として働きながら、札幌でWebライティングの講師として活動。「良いWebライターが増えれば仕事が楽になるなぁ」と思いながら、一人でひっそりと文亭を運営中。著書『Webライターが書いてはいけない文章28選』

「可能です」は敬語?

「可能です」は、間違いなく敬語です。名詞である「可能」に助詞の「です」を付けた、敬語の中でも「丁寧語」と呼ばれる言葉ですね。

しかし「可能です」を使う文脈では「敬い」のニュアンスが薄いことが多いため「これは敬語として使って良いのか?」と悩む方が多いのです。

その理由が「可能」という言葉の持つ意味です。

「可能」の意味
ある物事ができる見込みがあること。ありうること。またその様

出典:weblio

踏まえて、下記の文例をご覧ください。

「可能です」を含む会話例

上司「明日までにできる?」
部下「はい、可能です」

この「可能です」には「できる見込みはあるが、やりたいとは言っていない」といったニュアンスが多少含まれています。

これなら「もちろんです」あるいは「問題ありません」などと答えた方が、上司からすれば気持ちが良い受け答えと感じられるかもしれません。

文化庁が発表している『敬語の指針』によると、敬語は「その場の人間関係や場の状況に対する気持ちの在り方を表現するもの」と定義されています。

そう考えると「可能です」は、敬語としては少々微妙な立ち位置の言葉だと言えるかもしれません。

「可能です」の用法「Aが可能です」は冗長表現になりやすい

「可能です」を文章に使う場合「Aが可能だ」の用法が基本になりますが、残念ながら文が冗長になりやすい特性を持ちます。

下記文例をご覧ください。

「可能です」を含む文例
  • この店舗では、事前に予約することが可能です。
  • YouTubeでは、自分で好きなチャンネルを選んで見ることが可能です。

上記表現はどちらも「Aできます(予約できます、見られます)」とも言い換えられるため、あえて「実現可能ではある(が、絶対にやる必要はない)」というニュアンスを含めるか否かを検討する必要があります。

基本的には「Aできます」に統一した方が、文字量が減って読みやすくなります。

そしてあえて「やろうと思えばできる」の意味を含めるなら「A”が”可能です」ではなく「A”も”可能です」にした方が、ニュアンスが伝わりやすいかもしれません。

この辺りは「することができる」表現を取り扱った下記の記事で解説していますので、あわせて参考にしてください。

「可能です」の言い換え表現と意味の違い

「可能です」には、他にも似た意味の言葉があります。

伝えたいニュアンスにより、別の言葉に言い換えて伝えられるようにしておくと良いでしょう。

「できます」との違い

「できます」は「できる」の敬語表現です。

「可能」とほぼ同じ意味を含みますが、「現実的に可能である」と事実を提示するニュアンスが大きくなります。

会話例

上司「明日までにできる?」
部下「はい、できます」

文例
  • 彼は料理ができます
  • 今すぐ執筆できます

「可能です」よりも「前向き」なニュアンスを含ませたいとき。あるいは「可能です」では固すぎると感じる際などは「できます」を使うと良いでしょう。

「大丈夫です」との違い

「大丈夫です」は「大丈夫」の敬語表現です。意味は下記の通り。

まちがいがなくて確かなさま

出典:weblio

「可能」とは少々意味が変わりますが、「間違いなく実現できる」といった前向きな自信を含むニュアンスの表現になります。

会話例

上司「明日までにできる?」
部下「はい、大丈夫です」

文例
  • 時間無制限ですから、ゆっくりしても大丈夫です
  • 料理ができなくても大丈夫です

「可能です」よりも、少々大枠の概念を示す言葉になりますので、全体的に曖昧かつ柔らかく、前向きな気持ちを表現したいときに使うと良いでしょう。

しかし明確に「可否の返事」をする際は「できます」「可能です」の方が適しています。

まとめ

「可能です」は便利な言葉ではありますが、微妙なニュアンスを含みます。

より前向きな気持ちを表現したい場合や、文を端的にあらわしたい場合は、避けた方が良い場合もあります。

表現したいニュアンスや使用シーンを考えて、適切に使っていきましょう。

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