この記事では「観賞」と「鑑賞」の違いについて解説します。
簡単な使い分け方として、気楽に見て楽しむシーンでは「観賞」を。五感全体を使って作品を味わいながら楽しむシーンでは「鑑賞」を使うと、適した用法になります。
なお、こういった言葉を「同音異義語」と言います。間違いやすい同音異義語は下記の記事にまとめてありますから、併せて参考にしてみて下さい。
「観賞」と「鑑賞」の違いと使い分け方
「観賞」と「鑑賞」には、下記の違いがあります。
- 観賞:作品を娯楽目的で楽しむ。主に目で見て楽しむ時に使う
- 鑑賞:作品を味わい、理解する。目だけでなく五感全体で感じる時に使う
例えば映画を見るシーンを例に挙げると、単純に見て楽しむ場合には「映画観賞」になります。劇中で使われている音楽を味わい、作品の深い意図なども考察しながら、五感全体を使って楽しむ場合には「映画鑑賞」の方が適切といえるでしょう。
あとは作品によって、例えば子供向けの気楽な映画なら「観賞」になるでしょうし、黒澤明監督の重厚な作品なら「鑑賞」になることが多いかもしれません。
また芸術に上下をつけるのはナンセンスではありますが、一般的に「観賞」は気楽なイメージの芸術作品やエンタメに。「鑑賞」は少々お高く、マナーが必要になるような芸術作品や場に対して使う傾向があります。
「観賞」と「鑑賞」は、当人の感じ方によって使い分け方が変わる可能性のある言葉とも言えます。
「観賞」の意味と用法
「観賞」の意味は、下記の通りです。
- 物を見て、その美しさや趣などを味わい楽しむこと
(出典・参考:デジタル大辞泉)
例えば、下記のような作品やシーンに使うことが多い言葉です。
- 植物園の観賞
- 動物園の観賞
- 水族館の観賞
- コメディ映画の観賞
- 時代劇の観賞
- ライブの観賞
- フェスの観賞
見て楽しむ、癒されるといった、気楽なニュアンスのシーンで使うと良いでしょう。
「鑑賞」の意味と用法
「鑑賞」の意味は、下記の通りです。
- 芸術作品などを見たり聞いたり読んだりして、それが表現しようとするところをつかみとり、そのよさを味わうこと
(出典・参考:デジタル大辞泉)
例えば、下記のような作品やシーンに使うことが多い言葉です。
- 美術館の鑑賞
- 舞台の鑑賞
- 古代遺跡の鑑賞
- オーケストラの鑑賞
- ミュージカルの鑑賞
作品をじっくりと、深く味わうような楽しみ方をするシーンで使うと良いでしょう。
まとめ
「観賞」と「鑑賞」は、まず「その人の姿勢や気持ち」によって使い分けをする言葉です。
同じ映画でも、人によっては「観賞」になるでしょうし、また別の人によっては「鑑賞」になるかもしれません。
気持ちをあらわせる良い言葉ですから、シーンごとに、より適した表現を使っていって下さい。