今回は慣用句である「目に付く」の意味や用法を解説していきます。
類義語として「目に余る」や「目に触れる」など、似たニュアンスの言葉がたくさんありますので、違いを知って適切なシーンで使えるようになっておきましょう。
「目に付く」の意味と用法
「目に付く」とは、何かが目立って見えることを意味する言葉です。
「別に見たいと思っている訳ではないが、目立っているから自然と見てしまう」といったニュアンスを持っており、現代ではあまり良くない意味で使われることも多い言葉です。
下記例文をご覧ください。
- この花柄がどうしても目に付く
- 欠点が目に付く
例文1は「花柄が目立っているが、この花柄がなかったらもっと良いのに」というニュアンスを表現しています。
また例文2も「良いところもあるのはわかるが、欠点が目立ってしまっていて好ましくない」というネガティブなニュアンスを含みます。
よって「目に付く」は、使いどころに注意しなければ、失礼に当たる可能性のある表現でもあると理解しておきましょう。
「目に付く」に似た言葉との違いと使い分け
次に「目に付く」と似たニュアンスで使われる言葉との違いを解説していきます。
下記の言葉を取り上げました。
- 目に余る
- 目に留まる
- 目を射る
- 目にする
- 目に入る
- 目に触れる
それぞれ少しずつニュアンスや用途が変わってきますので、違いを押さえておきましょう。
「目に付く」と「目に余る」の違い
「目に余る」は「程度がひどくて見過ごせない」という状況で使う言葉です。よって文章だけを見ると「目に付く」とほぼ同じような使い方をします。
- 彼の行動が目に付く
- 彼の行動が目に余る
上記例文では、どちらも「彼の行動」に対してあまり良くない感情を抱いていることを示しています。
「目に付く」の場合は「なんだか目立っているなあ」くらいなのに対して、「目に余る」は「さすがにもう見過ごせない」と感じている状況を表現します。
よってまずは「目に付く」ところから始まって、エスカレートしてきたら「目に余る」ようになってくる、というイメージで考えておくと良いでしょう。
「目に付く」と「目に留まる」の違い
「目に留まる」は、その何かに注意が引き付けられた状況を示す言葉。ポジティブな感情を表現するときに使います。
- 彼の行動が目に付く
- 彼の行動が目に留まる
上記例文の「目に留まる」は「おや、彼がした行動は素晴らしいのでは?」と注目するイメージですね。
よって「目に付く」とは真逆のニュアンスで使える言葉が「目に留まる」だと捉えておくと良いでしょう。
「目に付く」と「目を射る」の違い
「目を射る」は「目に飛び込んできた!」という状況を示す言葉です。目に留まるの上位互換のようなイメージで捉えると、わかりやすいかもしれません。
- 彼の行動が目に付く
- 彼の行動が目を射た
例えば「不良みたいな見た目をしている彼が、川で溺れている子供を助けにいった」といったシーンでは「目を射る」可能性があります。
上記のように「思いがけない光景が目に飛び込んできた」ようなシーンで使いたいのが「目を射る」という表現です。
「目に付く」と「目にする」の違い
「目にする」は、ただただ「見た」という事実を伝える表現です。
- 彼の行動が目に付く
- 彼の行動を目にする
彼の行動を見たことを示す、特に感情の混じらない「報告」のような表現になります。
「目に付く」と「目に入る」の違い
「目に入る」は、自然に視界に入ることを表現する言葉です。
- 彼の行動が目に付く
- 彼の行動が目に入る
「目に付く」はネガティブな感情を含むのに対して、「目に入る」は、ただ「視界に入った」という事実を伝えるようなイメージですね。
「目に付く」と「目に触れる」の違い
「目に触れる」は「視界に入る」という方向性の広い意味を含む言葉。「目に入る」と「目に付く」両方のニュアンスを持つ表現です。
- 彼の行動が目に付く
- 彼の行動が目に触れる
この場合の「目に触れる」は、彼の行動が「ただ視界に入った」のか「嫌な意味で目立っている」のか、前後の文脈から判断する必要があります。
よって読むときには注意が必要で、使用する場合はあえてニュアンスを濁したいときなどに用いると良いでしょう。
まとめ
「目に付く」の類義語はたくさんありますが、それぞれ意味が少しずつ変わります。
一つ一つの言葉を辞書で調べるだけでは、だいたい同じような意味として捉えてしまいがち。
実際に使うときの用法は微妙に違ったりしますので、ぜひ似た言葉との使い分け方まで押さえておきましょう。