今回は「のぼる」と読める言葉「上る・登る・昇る」の違いについて解説していきます。
特定のシチュエーション以外はほぼ「上る」が使われますが、もちろん「登る」や「昇る」が適切なシーンも数多くあります。漢字の持つ意味を知り、適切な「のぼる」を使えるようにしておきましょう。
のぼる(上る・登る・昇る)の違いと使い分け方
「上る・登る・昇る」各言葉のニュアンスの違いは、下記の通りです。
- 上る:概念的に上へあがるニュアンス全般で使う
- 登る:自分の意思で、また自分の足をつかって高い場所にあがるニュアンスで使う
- 昇る:天高くあがる、役職があがる、機械を使って上にあがるときなどに使う
では「今からタワーマンションの30階までのぼる」と表現する際はどうでしょうか。少々「のぼる」の使い分けに迷うシチュエーションです。
この場合「上る」は明確な誤用にはなりませんが、少々意図と合いません。何も含ませず30階に到達することをあらわすなら「のぼる」ではなく「あがる(上がる)」を使うと良いでしょう。
一方で「登る」と「昇る」は、どちらも使うシチュエーションがあります。
- ただ30階に到達しようとする事実だけを表すなら「上がる」(のぼるではなく「あがる」)
- 階段をつかう場合は「登る」
- エレベーターを使う場合は「昇る」
伝えたい意味を考えて、言葉を選ぶことが大切です。
「上る(のぼる)」の意味と用法
上る(のぼる)は、下記5つの意味や用法で使われます。
- 意味1. あるところで、取り立てて問題とされる
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文例)「話題に上る」など
- 意味2. 数量が無視できない程度の数に達する
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文例)「支持者が80%に上る」「成功者は50名に上った」など
- 意味3. (慣用表現で)のぼせる、夢中になる
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文例)「頭に血が上る」など
- 意味4. 地方から中央へと向かう(古文)
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文例)「京へ上る」「江戸へと上る」など
- 意味5. 貴人の御前へ参上する(古文)
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文例)「御前に上る」など
「登る」の意味と用法
登るは「自分の意志で、低い所から高い場所へ移る」という意味を持つ言葉です。
下記のような用例で使われます。
- 山に登る
- 坂道を登る
- 自転車で登る
- 川を登る
「昇る」の意味と用法
昇るはなにかが天高く現れたり、高いところへ達するときに使われる言葉。機会で高い場所へと移動する際にも使われます。また主に古文では、昇進する際にも使われることがありました。
用例は下記の通り。
- 日が昇る
- エレベーター
- 風船が空高く昇る
- 大臣の位へ昇る(古文)
まとめ
「のぼる」は、ふとした時に使い分けを迷ってしまいやすい言葉です。
自分の足を使って移動するときは登るを。空高い場所へとあがっていくときは昇るを。それ以外の場合、基本的には「上る」を使うとほぼ適した用法になります。
漢字のもつ意味も一緒に理解して、適切に使えるようにしておきましょう。