この記事では、読み方を間違えてしまいやすい言葉をまとめてご紹介していきます。
言葉の読みは、間違いに気づくたびに自分の中で修正していくのが大切です。ぜひ正しい読みができるよう、おさらいしておいて下さいね。
また今回ご紹介する「読み方を間違えやすい言葉」を、300名の方に「漢字の読み方クイズ」として出題してみました!皆様の解答結果も掲載していますので、ぜひ正しい読みと合わせて世論もチェックしてみて下さい。
■調査概要
調査日時 2022/4/10
n=300 10代〜男女
インターネット調査
なぜ読みを間違えやすい言葉が存在するのか
そもそも言葉とは「作った人」が明確に存在しません。よって言葉を修正する権利や義務を持った組織が無いため、昔ながらの読み方が続き、間違える人がずっと居続けるのです。
(国語辞典が改訂されるときなども、あくまで「修正」ではなく「許容表現の追加」という意味合いで、あらたな読みが追加されていくことがほとんどです。)
ではなぜ読みを間違えやすい言葉があるのかというと、大きく3つの理由に分けられます。
- 歴史的かな遣いが関わっている
- 別の読みをする、似た漢字が存在する
- 複数の音読みのある漢字は、初見で攻略できない
歴史的かな遣いが関わっている
例えば「早急」という言葉があります。学校で習った読みに当てはめれば「そうきゅう」としか読めないのですが、しかし「さっきゅう」が正しい読みになります。
古文では「早」の仮名は「さう」と表記することから「納得」などの読みと同様に詰まった音がついて「さっきゅう」と読まれるようになった、ということになります。
別の読みをする、似た漢字が存在する
あるいは「汎用」は「ぼんよう」と読んでしまいがちですが、これは「はんよう」と読みます。
「凡庸(ぼんよう)」の「凡」と「汎」の漢字が似ており、また「凡人(ぼんじん)」などの言葉で「凡」に馴染みがあることから、似た「汎」を「ぼん」と呼んでしまう人が多いのです。
このように似た漢字がある場合は、読みを間違える人が多くなります。
複数の音読みのある漢字は、初見で攻略できない
もっとも厄介な言葉が「音読みが複数ある漢字」です。一般的に訓読みで読む言葉は、義務教育で習ってきたままの言葉の雰囲気で読めば通るものが多いのですが、音読みで読む漢字には思わぬ読み方が発生します。
例えば「重複」という言葉があります。これは「じゅうふく」と読む人が多いのですが、正しくは「ちょうふく」です。こういった言葉は、基本的に初見で正しく読むのは不可能ですから、知識として知っておく必要があります。
気づいたときに一つずつ覚え直していきましょう。
読み方を間違えやすい言葉16選
それでは読みを間違えやすい言葉の中から、日常生活でも使いそうなものを代表して16個ご紹介していきます。
300名の方にお答えいただいた解答結果も掲載していますので、ご自身の認識が多数派なのか、マイノリティなのか、それもあわせてチェックして楽しんでみて下さい。
汎用
汎用(はんよう)は、凡庸(ぼんよう)と間違えて読んでしまう人の多い言葉です。
- 凡庸(ぼんよう):平凡でとりえがないこと
- 汎用(はんよう):さまざまな用途に使えること
漢字の形が似ているだけで、意味も漢字もまったく異なる言葉です。間違えないよう重々気を付けておきましょう。
Q. 「汎用」なんて読みますか?
- ほんよう 0名
- ぼんよう 73名
- はんよう 225名
- ばんよう 2名
正答率75%。特に50代以降の方は、目立って正答率が高い結果になりました。
早急
早急(さっきゅう)は「とても急いでいる様子」をあらわし、「そうきゅう」と読む人がとても多い言葉です。
とはいえ現在では辞書でも「そうきゅう」も読み仮名として記載していることが多く、許容されてきています。しかし公式な場、正式な場では、正しく「さっきゅう」と読めると良いですね。
Q. 「早急」なんて読みますか?
- そうきゅう 151名
- さっきゅう 149名
思った以上に解答が割れる結果に!年代による差が出るかと思いましたが、それは全く見られず、各年代ごとにほぼ半々に割れました。
発足
発足(ほっそく)は「団体などが立ち上げられること」を意味する言葉です。一部で「はっそく」と読む方がいらっしゃいます。
現代は「はっそく」の読みも広く使われており、間違いというわけではありませんが、もともとは「ほっそく」が正しい読みとされています。
Q. 「発足」なんて読みますか?
- はっそく 18名
- ほっそく 282名
- はつあし 0名
ほとんどの人が「ほっそく」と認識しており、もはや間違えやすい言葉とは言えないかもしれません。
代替
代替(だいたい)は「代わりになるもの」の意味を持ち「だいがえ」と読んでしまう人の多い言葉です。
送り仮名をつけて「代替え」と表記するなら「だいがえ」が正解ですが、「代替」と書くときの読みは「だいたい」が正解です。ビジネスシーンでもよく使われる言葉ですから、間違えないようにしましょう。
Q. 「代替」なんて読みますか?
- だいたい 200名
- だいがえ 96名
- だいへん 4名
正答率66%。年代問わず、間違えて覚えている方が存在する言葉でした。
漸く
漸く(ようやく)は、「やっと、かろうじて」の意味を持つ言葉。なぜか「しばらく」と読んでしまいがちです。
しばらくは「暫く」で漢字もまったく違いますので、間違えないよう注意しておきましょう。
Q. 「漸く」なんて読みますか?
- ようやく 104名
- しばらく 154名
- いさぎよく 42名
正答率35%。思ったよりも「しばらく」と読む方が多い結果でした。ぜひ正しく覚えておきたいですね。
世論
世論(せろん)は「よろん」と「せろん」二つの読み方がある言葉です。しかし「よろん」には元々「輿論」という漢字が当てられているため、基本的には「せろん」が正解でしたが、現代ではどちらも許容されています。
なお文化庁公式サイトの世論調査のページのURL文字列が「yoron」になっていたため、そう考えると「よろん」を正解とするのが自然かもしれません。
どちらで読んでも良いのですが「二つの読みがある」と知っておくことが大切ですね。
Q. 「世論」なんて読みますか?
- よろん 250名
- せろん 50名
- ぜろん 0名
「よろん」が多数派でした。どちらかというと「せろん」の方が正しい読みのはずですが、もはや「世論」は入れ替わってきていますね。
逝去
逝去(せいきょ)は普段の生活で馴染みもなく、また「逝く(いく)」のイメージが強いこともあり「いきょ」と読んでしまうことの多い言葉です。
使うとすれば厳かなシーンになることが多いため、正しく読めるようにしておきましょう。
Q. 「逝去」なんて読みますか?
- いきょ 38名
- そうきょ 5名
- せいきょ 257名
正答率は86%でした。誤答したのは、特に若い年代の方に多い結果になりました。
著す
著す(あらわす)は、書物を書いて出版することを示す言葉です。
その漢字の意味から「しるす」と読んでしまいがちですが……この漢字に「しるす」の読みは一切ありません。「しるす」は明確に誤りですから、間違えないよう注意しておきましょう。
Q. 「著す」なんて読みますか?
- しるす 118名
- ちょす 24名
- あらわす 158名
正答率は53%で、やはり「しるす」と間違えて認識している方が多い結果に。ぜひ正しい読みを覚えておきたいですね。
依存
依存(いそん)は、日常生活では「いぞん」と読む方がとても多い言葉です。しかし「いそん」が正解で、例えば「依存心(いそんしん)」「依存症(いそんしょう)」などと使います。
現代では辞書でも「いぞん」の読みが許容されてはいますが、正しい読みは知っておくと良いでしょう。
Q. 「依存心」なんて読みますか?
- いぞんしん 209名
- いぞんこころ 2名
- いそんしん 89名
「いぞんしん」でも正解ではありますが、あえて「いそんしん」を選んだ方はわずか30%でした。やはり一般的な認識は「いぞん」のようです。
一段落
一段落(いちだんらく)は、多くの人が「ひとだんらく」と読んでいる言葉です。
むしろ「いちだんらく」と読んだら間違いだと思われてもおかしくないほど、一般的に浸透している言葉ですが、しかし「ひとだんらく」は許容表現として掲載している辞書もあまり多くありません。
基本的には「いちだんらく」で覚え直しておきましょう。
Q. 「一段落」なんて読みますか?
- ひとだんらく 205名
- いちだんらく 94名
- いつだんらく 1名
正答率はわずか31%。やはり多くの方が「ひとだんらく」だと認識していました。
琴線
琴線(きんせん)は、あまり馴染みがない方は「ことせん」と読んでしまいがちな言葉です。
「琴線に触れる」などの文で使われますが、その意味も一言で説明するには少々難しいですし、色々と難解な言葉ですね。なお、比喩的に「人の心の真情」を示す言葉です。
意味とあわせて、読み方も押さえておきましょう。
Q. 「琴線」なんて読みますか?
- ことせん 39名
- きんせん 254名
- きんしょう 7名
正答率は84%で、今回の調査ではほとんどの方が読めていました。ただ年代問わず間違えている方がいましたので、おさらいしておきたいですね。
言質
言質(げんち)は、何となく「げんしつ」と読んでしまう人が多い言葉。「あとで証拠となるような言葉」を意味します。
「質」を「ち」と読むのがかなりレアですから、知っていないと間違えがちですね。こちらもぜひ押さえておいて下さい。
Q. 「言質」なんて読みますか?
- げんちつ 7名
- げんしつ 121名
- げんち 153名
- げんし 19名
正答率は51%で、多くの方が「げんしつ」と読んでしまっていました。ぜひ正しい読みを覚えておいて下さい。
所謂
所謂(いわゆる)は、そのままなんとなく「しょせん」と読めそうな漢字が使われていることから、読みを間違える方の多い言葉です。
一般的な記事では「ひらく(あえて平仮名で書く)」ことの多い言葉ではありますが、漢字と読みもリンクさせて覚えておいて下さい。
Q. 「所謂」なんて読みますか?
- しょせん 91名
- しょよう 5名
- いわゆる 201名
- ところで 3名
正答率は67%で、やはり「しょせん」と間違えることの多い言葉でした。
貼付
貼付(ちょうふ)は「何かを貼り付けること」を示し、「てんぷ」や「はりつけ」と読みを間違われやすい言葉です。
送り仮名がついて「貼り付け」と表記するときは、もちろん「はりつけ」の読みになりますが、漢字二字の「貼付」は間違いなく「ちょうふ」が正解です。ぜひ覚えておきましょう。
Q. 「貼付」なんて読みますか?
- はっぷ 51
- ちょうふ 118
- てんぷ 131
正答率は39%で、思ったよりも「てんぷ」と読んでしまう人の多い言葉でした。ぜひ正しく覚えておきましょう。
捏造
捏造(でつぞう)は「ないことをあるかのように偽って作り上げること」を示す言葉。一般的に「ねつぞう」と読まれることが多いのですが、実は「でつぞう」が正解です。
もはや「でつぞう」と読んだ方が間違いだと思われてしまいそうな言葉で、「ねつぞう」も慣用読みとして定着はしていますが、ぜひ正解は知っておいて下さいね。
Q. 「捏造」なんて読みますか?
- ねつぞう 293
- でつぞう 4
- ざつぞう 3
正答率は、まさかの1%。ほぼ全員が「ねつぞう」と読んでおり、もうねつぞうを正解にしても良いほどの言葉です。これから辞書なども切り替わっていくかもしれませんね。
重複
重複(ちょうふく)は、読みを「じゅうふく」と間違われやすい言葉です。
その言葉により「重」を「じゅう」と読むのか「ちょう」と読むのかコロコロと変わるため、知識として持っておきたい言葉ですね。
Q. 「重複」なんて読みますか?
- ちょうふく 203名
- じょうふく 23名
- じゅうふく 74名
正答率は68%でした。この読みに関しては、あえてクイズとして出さなければもっと多くの方が「じゅうふく」と読むのではないかなとも思っています。
まとめ
もちろん身内や友人間で使うなら、そこまで読みにこだわる必要もないかもしれません。しかしビジネスシーンなどでは、読みを間違えるだけでも信頼性に関わってきます。
ぜひ正しい読みを押さえておき、知識として蓄えておいて下さい。