今回はWebライターを雇用する際におこなうテストライティングについて解説していきます。
基本的には発注者向けに確認項目や流れをまとめましたが、一方でテストライティングを受けるライターの方も、当ページの内容が大いに参考になるかと思います。
ライターを選考する際、あるいは応募する際にお役立てください。
テストライティングとは
テストライティングとは、ライターの実力を確かめるために、通常の執筆依頼と同じ流れで「お試し」でおこなわれる記事作成依頼です。
ライターを募集する際、一般的にまずはライタープロフィールやサンプル記事などの書類で選考します。しかしそれらの記事は、もしかするとライター自身が書いたものではないかもしれませんし、スクール講師などの添削が入っている可能性もあります。
そこで、選考の際にオリジナルのお題を出して記事を書いてもらうことで、それが本当に自分の実力であることを証明してもらうような目的があります。
テストライティングの確認項目
ライターを選考する際、テストライティングで確認する詳細な項目についてまとめました。
文章力
テストライティングで書かれた記事をもとに、まずは基本的な文章力を確認します。
- ある程度正しい文法が使えるか
- 暗黙の了解的な表記ルールは習得しているか
- 文章が論理立ててわかりやすく書かれているか
- サンプル記事やライタープロフィールの文体と乖離していないか
とくに「ライタープロフィールやサンプル記事よりも文章が下手だな」と感じた場合、だいたいはプロフィールやサンプル記事に添削や編集が入っています。それはご本人の実力ではないわけですから、ポイントとしては低くなります。
とはいえ文章に100%の正解はありません。最終的には担当者から見た読みやすさ、わかりやすさで判断することになります。
コピペ率
テストライティングでは、納品原稿のコピペ率もチェックします。
ライターの中には、ご自身で1から文章を書くのではなく、なんと検索上位記事の文章を少しずつコピペして切り貼りして納品するような人がいます。「まさか」と思うかもしれませんが、残念ながら存在するのが現実です。
コピペチェックツールはかならず導入して、コピペ率が高くないか確認することも大切です。
納品スケジュール
次に大切なのが、納品スケジュールと、それに対する意識です。
テストライティングの納品スピードは、ライターによって真っ二つに分かれます。とにかく素早く仕上げて納品する方と、納期ギリギリに納品する方です。
もちろんライター側のリソース状況や案件状況にもよると思いますが、一般的な感覚では、テストライティングは優先すべき事項です。文章のレベルが同程度でしたら、やはりスピーディに納品するライターを選ぶことをおすすめします。
あえて少し長めの納期を設定して、どのくらいのスピードで納品されるかテストすることもあります。
ライター業への慣れ
ライターの仕事をどの程度理解しているか確認するのも、テストライティングの目的です。下記のようなポイントでチェックすることで、今後お互いに気持ち良く仕事ができそうか確認します。
- 報連相のスムーズさ
- 連絡の丁寧さ
- 仕事の流れに対する認識
テストライティングを通して、ライター業に対する理解や仕事のやりやすさを確認します。
入稿作業の習熟度
記事入稿してもらうツールはWord、Googleドキュメント、WordPressのいずれかが多いと思いますが、それらのツールでおこなう入稿作業への習熟度も確認します。
例えばH2やH3など見出しの設定、リンクの設定、太字の使い方など。「そんなことまで指示しなきゃいけないの?」と感じてしまうような入稿方法のライターは、その後の仕事でも齟齬が出るでしょうから、お断りした方が良いかもしれません。
スムーズに入稿作業ができるか確認するのは、意外と大切なことです。
テストライティングの実施内容
テストライティングの内容には、いくつかのパターンがあります。ここでは代用的な3つをご紹介しておきます。
記事構成+原稿作成
SEOライターを選考する場合は、一般的に記事構成と原稿作成の両方を依頼します。掲載予定メディアと対策キーワードだけ伝えて、記事構成と原稿の両方を提出してもらう形です。
書式は社内で使っているフォーマットを指定しても良いでしょうし、特に高レベルのライターを求めるなら、すべてライター側に用意してもらうこともあります。
原稿作成のみ
そこまで高いレベルのライターではなく、まずは綺麗な文章が書ければ良いということでしたら、原稿作成のみを依頼することもあります。記事構成は社内で用意して、それに沿って原稿を作成してもらう形です。
専用のテスト
会社によっては、まさに「テスト」になっているライティングに関する試験を用意することもあります。選択問題などのほか、数百文字程度の執筆をおこなう設問を用意して、ライティングに関する知識を測るような内容です。
あまり一般的ではありませんが、数多くのライターを一度に選考する場合などに導入されることがあります。
テストライティングの流れ
それでは、実際におこなうテストライティングの流れを解説します。
1. 募集文の作成
まずはライターを募集する際に、テストライティングを実施する旨を記載しておきます。
例えば下記のように記載して募集しましょう。
初回はテストライティングとして、1記事5,000円で発注させていただきます。その後継続して依頼させていただく場合は、文字単価3円を基準として発注をご相談させてください。
ちなみにテストライティングだからといって無料で書いてもらうのは、少々時代遅れです。規定の費用より安くするのは問題ありませんが、報酬は発生させるのが一般的ですから、その点には留意しておきましょう。
2. 書類選考
ライターからの応募があれば、テストライティング前に書類で選考します。プロフィール文、サンプル記事、提案文をチェックして、仕事をお願いしたいライターなのか検討しましょう。
とくに「サンプル記事」の内容をチェックして、求めるレベル感のライターなのか確認してください。
3. テストライティングの発注
書類を見て依頼したいと感じたライターに、テストライティングを発注しましょう。
募集の場がクラウドソーシングであれば、気軽に契約できますから、NDAや基本契約を結んで普通に発注します。
しかし直契約の場合、テストライティング時点で細かい契約は結ばないこともあります。会社の規定やライターの希望もあるでしょうから、その辺りは確認してみてください。
報酬や納期、入稿方法などを擦り合わせて、執筆してもらいます。
4. 納品記事を確認して選考
記事が納品されれば、内容を確認して選考します。ちなみに複数人のライターを選考する場合は、選考にかかる期間の目安を伝えておくと親切です。
原稿の文章はもちろん、やり取りの内容、スピーディさなどを総合的に判断して、一緒に仕事をしたいと感じるライターを選びましょう。結果的にお断りする場合も、たとえば1年後くらいにレベルアップして再度応募してきてくれることもありますから、丁寧に対応しておくことをおすすめします。
最終的に、お願いしたいライターへと正式に発注していきます。
テストライティングの注意点
最後に、テストライティングをおこなう際の注意点について解説します。
完璧を求めすぎると選考が難しい
求めるライター像やメディアにもよりますが、あまり完璧を求めすぎるのも良くありません。
基礎的な能力が基準を満たしていれば、細かいレギュレーションなどはすり合わせをしていけば良いことです。「ここだけは譲れない」という点を明確にしておいて、それ以外の点はある程度ゆるく見ておくのも大切かもしれません。
ライターと一緒に成長していくような気持ちも持ちながら、一緒に仕事をしたいと思えるライターを選考してみてください。
ライターからお断りされることもある
テストライティングの進行ややり取りをとおして、メディア側が選考するのはもちろんですが、ライター側からも選考されていると思っておきましょう。
あまりに段取りが悪かったり、横柄な対応をしてしまったりすると、ライターからお断りされることもあります。もしもテストライティング後にライターから断られることが多いようでしたら、自分達の進行を見直してみることも必要かもしれません。
テストライティングはお見合いのようなもの
テストライティングは、いわばお見合いのようなものです。
一緒に仕事をしてみなければわからないことも多いため、相性を確かめ合うような意味合いで、節度をもっておこないましょう。
それではテストライティングをとおして、良いライターを探していってください。